昨年12月30日、井上尚弥(大橋)が世界ボクシング機構(WBO)スーパーフライ級王者オマール・ナルバレス(アルゼンチン)を2回にKO。プロ8戦目で2階級を制覇した快挙は、衝撃的なニュースだった。

フライ級、スーパーフライ級で計27度の防衛に成功している名王者に対し、井上は初回から速攻を仕掛け、2回、完ぺきに仕留めた。相手側のセコンドから「グローブに異物が入っているのでは」とクレームがついたほどで、それほど井上の強さは際立っていた。

あらためて井上の才能がクローズアップされている。戦前、井上有利と予想した人でもこれほどの圧勝は想像できなかったのではないか。

ナルバレスは39歳の超ベテランだが、43勝(23KO)1敗2分けの揺るぎない実績を誇る超強豪。百戦錬磨のテクニックに井上も苦しむのでは…というのが順当な見方だった。しかし、初回に2度のダウンを奪い、勢いのままにKOした。

最後はナルバレスが観念したような表情でギブアップ。リング上の井上はまぶしいほどに輝いていた。

そして、早くも話題になっているのが世界ボクシング評議会(WBC)フライ級王者ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)との“究極の対決"である。井上はデビュー前から「弱い相手とはやらない」と公言、高いと思われたハードルを超えてきた。

その戦いを振り返ると、3階級を制覇した無敗のスーパースター、ゴンサレス戦にも現実味が帯びてくる。

さらに、所属ジムの大橋秀行会長は勇気あるマッチメークを実現することで知られる。

例えばWBCフライ級チャンピオン八重樫東(大橋)の防衛戦の相手にゴンサレスを指名。八重樫は昨年9月、9回TKOで敗れたが、ボクシングの人気復活に貢献するタイトル戦だった。

ゴンサレスは昨年11月、早くもTKO勝ちで初防衛に成功。デビュー以来の連勝を41(35KO)に伸ばしている。

「イノウエと闘い、4階級制覇を達成したい」と意気込むゴンサレス。もちろん具体的な交渉になれば、井上陣営が断る理由はないだろう。

両雄がグローブを交えるとなれば、ボクシング界に吹き始めた追い風に拍車がかかるのは間違いない。2015年の最大の関心事である。(津江章二)