新たな競技を担当すれば、取材する記者にとっても新鮮な発見がある。ことしからバレーボール女子を担当し、野球やサッカーといったこれまで取材した競技との違いに驚かされた。特に興味深かったのは、日の丸を背負う日本代表選手のシーズンの長さだ。

ファンの方は「いまさら」と思われるかもしれないが、バレーボール選手のシーズンを2013~14年を例に挙げて説明したい。幕開けは11月のプレミアリーグ開幕。そこから翌年4月まで優勝を目指す戦いが続く。アジア・クラブ選手権や世界クラブ選手権に出場するチームもあるが、5月の全日本男女選抜大会で所属チームの活動は一区切りする。

疲れを癒したいところだが、代表に選ばれた選手にとっては、ここからもう一つのヤマ場が始まる。味の素ナショナルトレーニングセンターでの合宿や親善試合をこなし、毎年開催のワールドグランプリを迎え、ことしは9月下旬から世界選手権を戦った。10月初めに終わったと思うとそれもつかの間、約1カ月後の11月15日には今季のプレミアリーグが始まった。まさに息つく間もない過密なスケジュールだ。

これだけシーズンが長いと、ピークのつくり方が難しい。疲労もたまり、けがのリスクも増える。12年ロンドン五輪代表で主将を務めて28年ぶりの銅メダル獲得に貢献し、女児を出産して今季は母としてプレミアリーグに復帰した荒木絵里香(上尾メディックス)は「ナショナルチームでプレーする選手には基本的にオフシーズンというものがない」と過酷な1年を表現した。世界選手権で日本は2次リーグで敗退してしまったが、痛みを抱えながらコートに立ち続けた選手には敬意を抱かざるを得なかった。

彼女たちを突き動かすものとは何か。代表としての誇りか、勝利の瞬間を追い求める競技者としての本能か。日本代表の名セッターとして1984年ロサンゼルス五輪で銅メダルを手にし、現在はプレミアリーグの久光製薬を率いて2連覇中の中田久美監督は「消耗するのは仕方がない。それでも戦い続ける選手が日の丸を背負う」と代表選手の覚悟のほどを説いた。

海外の大型選手を相手に戦う代表と、日本選手が主体のプレミアリーグでは、コート上で求められる役割やチームの戦術は当然、異なってくる。それでも選手は二兎を追いいずれも成果を得なければならない。代表で主将を務める木村沙織(東レ)は、セッターの中道瞳が国内外いずれの戦いでもチームメートということもあり「東レでも(プレーを)合わせられる分、練習中から秒数にこだわってやっている」と日々の練習から意識を高めて臨んでいる。

日本女子は真鍋政義監督の下、16年のリオデジャネイロ五輪ではロンドン五輪を上回る金メダルを取りにいく。地元開催で五輪3連覇を狙うブラジル、世界選手権を制した米国、世界選手権で苦杯をなめさせられた中国と、越えるべき壁は高い。バレーボール漬けの日々を送り世界一を目指す日本女子の歩む道を、競技の魅力とともに伝えていきたい。

大坪雅博(おおつぼ・まさひろ)1983年生まれ。東京都出身。2009年入社、名古屋運動部で10年のJ1名古屋初優勝を取材し、11年からは中日、フィギュアスケートなどを担当。14年5月から本社運動部。