8月下旬に開催されたベルギーGP前に突然発表された、小林可夢偉のシート喪失。その後、可夢偉はイタリアGPでシートを再び手にしたものの安泰とは決して言えない状況だ。10月の日本GPで果たして可夢偉の勇姿を見ることができるのか、多くのファンが不安を感じながらその動向に注目している。

一方、可夢偉のシート喪失問題は、F1にとってもうひとつのシーズンともいうべき、ストーブリーグに関連した動きが表面化したとも言える。日本のプロ野球でストーブリーグというと、10月末から11月に行われる日本シリーズ終了後から翌年の1月にかけての期間を指すが、F1では5月のモナコGP前後から早くも水面下で動き始める。なぜなら、どのチームもこの時期に翌シーズンに向けたマシン開発やチーム体制再構築などの動きをスタートさせるから。ドライバー獲得に向けた動きもその中の一つなのだ。そして、F1の「夏休み」に当たる8月にはかなりの部分が決まる。だから、ベルギーGP前後になると、ストーブリーグの動きが本格的に表面化するのだ。

それに合わせるように、メディアを含むさまざまな関係者から真贋(しんがん)不明な情報が次々と出てくる。その中には、後から振り返ると「これは事前のリークだった?」というものもある。例えば、2012年7月、当時マクラーレン・メルセデスに所属していたルイス・ハミルトンは、メルセデスのニコ・ロズベルクと当時ザウバー・フェラーリのセルヒオ・ペレスと写った3ショットを自身のツイッターに投稿した。その後、ハミルトン自身はメルセデスに移籍してロズベルクのチームメートとなり、ペレスもマクラーレンへと動いた。飛び交う情報の多くはいわゆる“ガセ"なのだが、中にはスクープと言えるものもあるため、この時期のストーブリーグ情報は無視できないのだ。

そして現在、ストーブリーグの目玉としてファンが注目しているのが、フェルナンド・アロンソ(フェラーリ)の移籍話と、かつて可夢偉が在籍したザウバーチームの買収話。もちろん「毎度のガセ情報では?」という反応は強いが、セバスチャン・フェテル(レッドブル・ルノー)のフェラーリ移籍話や可夢偉のホンダ起用説も出ている。

他のスポーツと違って、シーズン中のストーブリーグ情報はF1のもう一つの楽しみと言える。ファンの皆さんも自らアナリスト(分析官)となってF1の来季ラインアップを予測し、その結果に一喜一憂しながら、秋の夜長を過ごしてみてはいかがだろうか。(モータージャーナリスト・田口浩次)