ファン待望の好カードが実現する。世界ボクシング評議会(WBC)フライ級チャンピオン、八重樫東(大橋)が4度目の防衛戦の相手に3階級制覇を狙う無敵ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)を選んだのである。

ゴンサレスはデビュー以来、39連勝(33KO)の快進撃を続けている。その怪物を指名した八重樫の勇気、決断に大きな拍手を送りたい。9月5日、代々木第二体育館。王者がまさに正念場を迎える。

ゴンサレスの強さは本物だ。アマチュアで87戦全勝の記録を残し、2005年7月、2回KO勝ちでプロデビュー。安定したスタンスから放たれる左右フックには抜群の切れ味があり、ホープ街道をばく進。

08年、新井田豊(横浜光)を4回TKOに下し、世界ボクシング協会(WBA)ミニマム級王座を獲得。続いて10年にはWBAライトフライ級も制し、2階級を制覇した。

軽量級とは思えない破格の強打が自慢で、欠点は見当たらない。今回は3階級制覇という目標もあり、気合十分と見る。

八重樫も気迫では負けていない。豊富なアマでの実績があり、「将来のチャンピオン候補」として05年3月、華々しくデビュー。07年、7戦目でWBCミニマム級王座に挑んだが、判定負け。11年10月、強烈な打撃戦の末、10回TKO勝ちでWBAミニマム級王座を獲得した。

12年にはWBC王者の井岡一翔(井岡)と王座統一戦を行い、激闘となったが、小差の判定で敗れ、王座を失った。しかし、内容の濃い一戦に八重樫の評価が下がることはなかった。

復活は速かった。13年4月、WBCフライ級チャンピオン、五十嵐俊幸(帝拳)を判定に破り、新王座へ。その後は確実にタイトルを守り、今回、最強の相手を迎えることになった。

ゴンサレスとの一戦は八重樫の願いでもあった。「ゴンサレスが強いのは十分に分かっている。とてつもない高い壁だ。小さな穴を見つけ、何とか突破口を…」と悲壮な覚悟でリングに上がる決意だ。大橋秀行会長も「正真正銘の最強挑戦者」と気持ちを引き締めている。

試合はスタートから緊張感に満ちた打ち合いになるはずだ。ゴンサレスはややスロースターターだけに八重樫は序盤に主導権をつかみたい。うまくペースに乗れば面白くなる。

しかし、ゴンサレスはプロ、アマを通じ、負けを知らない名ボクサー。八重樫の捨て身のファイトが見ものである。(津江章二)