今年のプロ野球セ、パ交流戦は6月26日に終わった。

16勝8敗の巨人が2年ぶり2度目の交流戦優勝を飾り、リーグ1位に躍り出た。いうまでもなく、交流戦は2004年の球界再編騒動から生まれた球界改革の一つで、今年が導入10年目だった。

交流戦がペナントの行方に大きな影響をもたらしていて、ファンもその戦いに一喜一憂している。

各球団は24試合を戦う。来季以降についてパが交流戦の試合増を希望しているが、セは逆に縮小を主張する。

パにすれば人気の巨人や阪神との試合を少しでも増やしたいのであり、セの多くは1試合でも多く巨人戦をやりたい。そうした議論を聞きながら思うのは、交流戦がメジャーのように拡大していけば、リーグの垣根はさらに低くなり「実質的なリーグ再編」に近くなるということだ。ファンはどんな受け止め方をしているのだろうか。

▽メジャーは改革に躊躇しない

交流戦を「インターリーグ」と呼ぶメジャーでは、人気回復の手立てとして導入された。本来は対戦することがない同じニューヨークを本拠地とするア・リーグのヤンキースとナ・リーグのメッツが1997年からのインターリーグで顔を合わす。「地下鉄シリーズ」と銘打って大人気となった。ワールドシリーズでしか見られないカードにファンは沸き、新規開拓という狙いは当たったのである。

昨年からナ・リーグ中地区のアストロズがア・リーグ西地区に移った事情もあったが、シーズンを通してインターリーグを組む日程となりつつある。

地区決定戦やリーグ優勝決定戦そしてワールドシリーズにつながるポストシーズン・ゲームを拡充したことでプロ野球の注目度を上げていったのだが、今度はインターリーグで常に新鮮な組み合わせをファンに提供し、観客動員数やテレビマネー等を増やそうというのである。そこには改革に躊躇しない姿がある。「とにかくやってみよう」と。

▽セ主催試合でDH制導入

交流戦10周年の最大の特長は、セ主催試合での指名打者(DH)制導入。逆にパ主催では投手も打席に立つ「DH制なし」だった。これを聞いたとき「セも随分と変わったなあ」と思った。

日本のDH制はメジャーに遅れること2年の1975年からパが採用した。人気面でセに大きく差をつけられていたパが「なんでもやってやろう」とばかりに採り入れたものだった。

ただ、「野球は9人でやるものでDH制は邪道」というセの主張は強硬で、日本シリーズに採用されるのは10年後、オールスター戦での本格導入はさらに6年の歳月が必要だった。こうした導入もパの本拠地球場に限られたものだった。

当初、DH制の研究はむしろセの方が先行していた。セ広報、企画部長を歴任し大リーグ通で知られた八木一郎氏(故人)は積極的に導入を図ろうとし、野球専門誌などを通じて「DH制の面白さ」を訴え続けた。パに先んじられたことで、逆に頑なになっていく。

メジャーがワールドシリーズでの隔年採用を発表した際も「野球規則」のDH制の項に「日本はこれを採用しない」と異例とも言える「注」を書いて物議を読んだ。

あれから40年。DH制の是非はともかく、今回の「セの決断」に時代の流れを感じる。

▽野球が大きく変わる

2020年の東京五輪で野球が復活すれば9回ではなく7回で戦うことが現実となる。国際試合やアマ球界では延長戦では無死あるいは1死満塁などから点を取り合う「タイブレーク」が普通に行われている。野球が大きく変わろうとしている。

野球関係者はプロもアマも勇気を持って改革に取り組むことが大切だと思う。

サッカーに興味がなかった人がワールドカップを見て「面白い」と言い、連日放送される「結果がすべて」のメジャーに迫力を感じるというファンの声を聞けば、なおさらである。

田坂貢二[たさか・こうじ]のプロフィル

1945年広島県生まれ。共同通信では東京、大阪を中心に長年プロ野球を取材。編集委員、広島支局長を務める。現在は大学野球を取材。ノンフィクション「球界地図を変えた男 根本陸夫」(共著)等を執筆