写真を見てなんだかお分かりだろうか。これ、電子レンジで野菜や肉を蒸したりする時に使うシリコンスチーマーと呼ばれる調理器具。ご覧のように折りたたむと平らになるし、長期にわたる海外出張の際にはスーツケースに入れている。いろいろと使い道はあるようだが、自分にとってはもっぱら「炊飯器」代わりだ。

食べ物の好き嫌いはあまりないものの、日本を離れて2週間くらいたつと、必ずお米が恋しくなる。ゴルフ取材は和食のレストランを探すのが大変な田舎街だったり、店はあっても営業時間が合わなかったりと苦労する。5月中旬まで6週間のアメリカ滞在だった今回は、最初に訪れたロサンゼルスで、知り合いからおいしいカリフォルニア米を譲っていただく幸運にも恵まれて大活躍だった。乾燥した気候のせいか、日本に比べて1・5倍くらい必要な水加減が難しいのだけれど、レンジで20分弱、一度に3合以上炊ける優れもの。外食が多くて消費スピードが追いつかなかった時は、おにぎりを作って関係者に配ったら好評だった。

最近は糖質制限健康法なるものがはやっていることもあり、夕食はおかずだけでご飯を食べないとか、周囲の「米離れ」が進む。サッカーのワールドカップ(W杯)を見ていて、ラモス瑠偉の「日本人ならお茶漬けやろが!」のCMを思い出す人も少なくなっただろうから、考え方が古いのかもしれないが、やはり腹持ちやスタミナ、栄養面のバランスでも、主食がパンでは物足りなく感じる。

それでも、海外で活躍する日本のスポーツ選手にとっては、年代にかかわらず「米=パワーの源」といえそうだ。例えば男子ゴルフの石川遼は、ラスベガスの日本料理屋から専属のシェフが同行し、キッチン付きホテルの一室を食堂にして和食をほおばる。松山英樹はどちらかといえば無頓着で、昨年の米ツアー遠征の際には、東北福祉大の阿部靖彦監督に「チポレ(メキシコ料理のチェーン店)でブリトーが食べたいというから参った」とぼやかせたこともあった。ただ、米国を主戦場とする今季は、やはり落ち着くのか、コース近くの日本食レストランで毎日のように姿を見かけた。大リーグを担当していたとき、当時レッドソックスの松坂大輔投手は、キャンプ期間中は有名ラーメン店の「一蘭」から料理人が来て栄養管理をしていた。

このようにそれぞれが工夫して自分の「米どころ」を確保する。アメリカが米国と書かれるようになったのは「亜米利加」の当て字から来ているそうで、当然ながら、米とはなんのゆかりもない。ただ、米国プロスポーツで活躍するためには、「米」事情に精通することも、大切な条件なのかもしれない。

木村 壮太(きむら・そうた)1973年生まれ。横浜市出身。97年共同通信に入社し相撲、プロ野球(オリックス、阪神、横浜)などを取材。2007年からボストン支局でレッドソックスを中心に大リーグを担当。12年1月に帰国しゴルフ担当に。