5月7日、二人のボクサーが明暗を分けた。

日本人2人目の3階級制覇を狙い、国際ボクシング連盟(IBF)フライ級王座に挑んだ井岡一翔(井岡)は小差の判定で敗れ、悲願達成を逃した。対照的にIBFミニマム級王者の高山勝成(仲里)は苦しみながらも判定勝ちで2度目の防衛に成功、試合後、日本人初の4団体制覇への夢を高らかに宣言した。

「目標に向け、走り出したい。できれば年内に試合をしたい」

それにしても小野心(ワタナベ)を相手にした防衛戦は冷や汗をかいた。7回までは完全に主導権を奪われた。

長身のサウスポー小野のアウトボクシングに接近戦を阻まれ、得意のパンチを打ち込めない。

しかし、8回をすぎると地力を発揮。10、12回にダウンを奪い、突き放した。強引なまでの打ち合いに活路を見いだし、防衛につなげた高山の執念が感じられた。小野も「キャリアの差に負けた」と振り返っている。

これで高山は4団体制覇をはっきりと視野に入れた。

2013年4月、日本ボクシング界は従来の世界ボクシング協会(WBA)、世界ボクシング評議会(WBC)に加え、IBF、世界ボクシング機構(WBO)への新加盟を認めた。

世界王者の安易な誕生が心配されたが、同時に他団体との統一戦が期待されたのも事実。その意味でも高山の意思をくみ、実現にこぎつけてもらいたい。関係者への期待は大きい。

高山は努力の男である。05年4月、WBCミニマム級王座を獲得した後、06年11月にはWBAミニマム級の暫定王座を奪い、13年3月、IBF王座に就いた。

日本がIBF未公認の時代には海外で地味に活動、力を蓄えてきた。若いころから強豪とも積極的にグローブを交え、敗戦の中から何かをつかんできた。

異国のリングで鍛えた精神力が最大の武器で、試合を絶対にあきらめない。スタミナも豊富である。

そして、残る王座はWBOだけとなった。しかし、現王者のフランシスコ・ロドリゲス(メキシコ)は3月、TKO勝ちで頂点に立ったばかりの20歳。戦績も14勝(10KO)2敗とKO率も高く、これからもっと強くなるだろう、と見られている。

高山にとって難敵であることには間違いない。これまで数々の試練を乗り越えてきた高山が、どう攻略の糸口をつかむのか。楽しみにゴングを待ちたい。(津江章二)