古巣のヤマハ・ファクトリー・レーシングへ復帰した2013年、34歳のバレンティーノ・ロッシは年間総合4位でシーズンを終えた。

1996年に17歳で125CCクラスへのフル参戦を開始してから18年目。97年に同クラス総合優勝を果たし、98年に250CCクラスへステップアップした。99年にこのクラスでも総合優勝し、2000年に満を持してホンダから最高峰へ昇格すると、01年から5連覇を達成した。

この間、04年にはヤマハへ移籍し、どうしても勝つことのできなかった同陣営を最強のチームへと立て直している。

この時期は名実ともに無敵時代で、2000年代の二輪ロードレースの歴史はロッシとともにあった、といっても過言ではない。映画スターやロックミュージシャンにも比肩しうる知名度と人気で、イタリアでは「ローマ法王に次ぐ知名度」ともいわれた。

ロードレースに興味がなかった層にまでファンを広げ、世界各地でモトGP人気が上昇した。08年、09年にも総合優勝し、全クラスで計9回のタイトルを獲得した。言うまでもなく、現役選手最高の成績で、総表彰台獲得回数183は史上最多である。

11年にはイタリアメーカーのドゥカティに移籍し、フルイタリアンパッケージによるチャンピオン獲得も期待されたが、年間7位に終わった。12年も6位と低迷し、この年限りでドゥカティと決別、ヤマハへ復帰するに至った。

チャンピオンの座から陥落した10年は、ホルヘ・ロレンソ(当時23歳)が総合優勝を果たした。11年はケーシー・ストーナー(当時26歳)、12年は再びロレンソ、そして13年はマルク・マルケスが20歳で史上最年少記録を更新した。

今年度のランキング上位3名は、マルケス、ロレンソ、ダニ・ペドロサ(28歳)で、いずれもロッシより下の世代ばかりだ。ロッシ自身は彼らトップスリーとまだ互角に戦えると発言しているが、34歳という年齢はアスリートとしてのピークを越えた、とみなされる時期でもある。

それだけに、14年は正念場の一年になるだろう。ヤマハとの2年契約がこの年いっぱいで終了する。ファクトリーとの契約更改を含め、現役生活の去就に関し、シーズン前半戦での自らのパフォーマンスをもとに判断したい、と話している。

10年以上もの長きにわたり、文字どおりモトGPの顔として競技人気を牽引してきたスーパースターは、来年前半最大の注目になるだろう。(モータージャーナリスト・西村章)