日曜日に8万6千人の観客が集まった日本GP。レースはレッドブルのセバスチャン・フェテルが自身初の5戦連続優勝を飾り、事実上チャンピオンシップは確定した。

決勝レース前には中嶋悟と、一貴、大祐の中嶋親子によるF1デモランが行われ、1987年からのF1ブームを知る世代のファンたちを大いに喜ばせた。そんな、さまざまなドラマを生んだ日本GPで、今回大きく名を上げたのが、27歳のフランス人ドライバー、ロマン・グロージャンだ。

F1の世界では一度シートを失うと、再び手に入れることは非常に難しい。グロージャンは2009年にF1デビューを果たしたが10年と11年はシート獲得のチャンスに恵まれなかった。しかし、12年に再びシートを手にする。それが、現在在籍するロータスだった。

だが、12年はスタート直後にさまざまなクラッシュの原因を作り、周囲だけではなく、ライバルである他のドライバーたちからも「あいつは周囲が見えていない」「まだF1レベルではない」などと散々の評価だった。それが、ことしの日本GPでは、スタートでフロントローに並ぶ2台のレッドブルを見事に抜き去り、優勝の可能性も見せた3位表彰台だった。何が彼をそれほどに変えたのだろう。

「なんだろう。成長したってことかな。日本GPのスタートは本当に最高だった。いいスタートというだけなら、昨年のカナダGPだったり、GP2時代のバーレーンでもいいスタートを決めた経験はある。でも、今回は1コーナーに飛び込んだ時点で前には誰もいない状態だった。ドライバーとしてこれ以上ないくらい最高の気分だったことは間違いないね。結果、3位だったわけだけど、4位との差は30秒以上。まさに上位3台だけが別世界で戦った。そこで僕は戦えたのだから、日本GPは胸を張れるレース内容だったと思う」

レース翌日に2人きりでインタビューさせてもらい、機嫌も良く、話は色々と脱線したが、現代のF1ドライバーの大変さを感じる一面もあった。もし今回のご褒美に「1週間完全な自由時間をもらえたら」と聞いてみたところこう答えた。「南の島でただただリラックスしたい。でも、夜は刺激も欲しいから走りが楽しいクルマを持ち込んでね。ずっと刺激がないとつまらないだろ」(モータージャーナリスト・田口浩次)