モトGP第7戦オランダGPが開催されたTTサーキット・アッセンで、ユニークな新プロジェクトの始動が発表された。「シェルアドバンス・アジア・タレント・カップ」と命名されたこのプロジェクトはアジア圏の選手育成を目的とし、2014年からの開始が予定されている。

二輪ロードレースの世界最高峰モトGPを運営し、量産市販車をベースにしたマシンで争うスーパーバイク世界選手権(SBK)も傘下に収めたDORNAスポーツ社が中心になり、株式会社ホンダレーシング、ブリヂストン、マレーシアのセパンサーキットや航空会社のエアアジア、エナジー飲料大手レッドブル、レースウェアを扱うアルパインスターズなどが協力している。6月27日の記者発表でDORNAスポーツ社CEOカルメロ・エスペレータは、その目的を「アジア太平洋地域から将来的に世界選手権に参戦する選手を、可能な限りたくさん育成するため」と説明した。

エスペレータはさらに、「ウェブサイトを立ち上げて募集を行い、その中から200名を選んでマレーシアGP(10月14日)後の月曜と火曜にセレクションを行う。セレクションにはホンダのアンダーボーン(スクーター型バイク)を用い、2014年の競技に参戦する22名の選手を選考する」と説明した。この選考には、ダニ・ペドロサやケーシー・ストーナーを発掘したことでも知られるアルベルト・プーチが大きく関与する予定だという。

シェル・アドバンス・アジア・タレント・カップは、アジア太平洋地域で行うモトGPやSBKの各大会との併催もしくは独自のカレンダーとして、日本(ツインリンクもてぎ)、マレーシア(セパン・サーキット)、カタール(ロサイル・サーキット)、インド(ブッダ・サーキット)、インドネシア(セントゥル・サーキット)などでレースを行う。タイヤはブリヂストン、使用するマシンはモトGPのモト3クラスでも使用されるホンダNSF250Rのワンメークが予定されている。レプソル・ホンダ・チームのチーム代表リヴィオ・スッポは「モトGPの世界で使用されているレースマシンに乗ることで、将来に向けてたくさんのことを学んでほしい」と話した。

近年の傾向として世界的に二輪車の販売台数が落ち込むなか、各メーカーは好調な実績を記録する東南アジア諸国に注目し、力点を置いている。販売台数に比例して、これらの地域ではモータースポーツの人気も興隆しつつある。そこから人材を発掘すれば競技人気と二輪市場がともに活性化するはずだ、という期待が、今回の若手発掘プロジェクトの背後にあることは容易に推測がつく。

グランプリを目指す日本の若者たちにとっても、このプロジェクトはチャンスを掴む好機になる。積極果敢に挑戦し、アジア諸国の貪欲な若手選手に負けない気概で道を切り拓く逞しさを発揮してほしい。(モータージャーナリスト・西村章)