他のグランプリ3勝分の価値があると表現されているモナコGP。アメリカのインディ500、フランスのル・マン24時間レースと並ぶ世界三大レースであり、華やかなヨーロッパ貴族の楽しみを起源とするモータースポーツ、さらに言えばF1を象徴するレースと言っても過言ではない。今年のモナコGPは、メルセデスのニコ・ロズベルクが、金曜日に行われた2回のフリー走行、土曜日に行われたフリー走行と予選、そして決勝レースと、全ての走行機会でトップに立ち、しかも決勝レースでは一度も順位を下げることなくチェッカーを受ける、まさに完全勝利を飾った。そのニコ・ロズベルクの父親は1982年にワールドチャンピオンを獲得したケケ・ロズベルク。彼も1983年のモナコGPで勝利を獲得している。つまり、今回の勝利は、30年の時を経て、史上初のモナコGP親子制覇という記録も残した。

F1ドライバーにとって母国GP勝利とモナコGP勝利は格別であることは間違いないが、中でもニコ・ロズベルクにとってのモナコGPは、他のドライバーとは一線を画する意味を持つ。というのも、彼は幼少時代からモナコで育ち、コースの一部は小学校への通学路だったという逸話が流れた。つまり、彼にとってモナコGPはホームタウンでの勝利に他ならない。

「ここモナコには、僕の家族も友達も揃っている。学校への通学路だったというのは間違った情報だけどね。でも間違いなく僕にとってホームタウンだ。だから今回の勝利は本当にうれしい。しかも、週末を通じて完璧な形で勝利できた。これ以上ないくらいに全てが上手くいったよ。ここで勝つならタイヤ交換は1回しかないって戦略も決めていたし、そのために土曜日にどのくらいタイヤが持つかをしっかりチェックしていた。一番のハイライトは、スタートかな。後ろにはセバスチャン・フェテル、隣にはルイス・ハミルトン。失敗したら全てが終わりだったからね。レースは途中セーフティーカーが2回、赤旗も入る混乱があったけど、とにかくチェッカーを受けるまで集中力を切らさないことだけに努めたよ」

昨年の中国GPで初勝利を飾り、今回が2勝目だったニコ・ロズベルク。このトロフィーをどこに飾るかと問われた彼は最高の笑顔でこう答えた。

「そうだな、最高に特別な場所を準備するよ。だって本当に特別なトロフィーだからね!」(モータージャーナリスト・田口浩次)