2013年、F1シーズン開幕戦。オーストラリア・メルボルンにある公園を利用したサーキット、アルバートパークでの戦いを制したのは、予選7番手だったロータスのキミ・ライコネン。2位には予選5番手だったフェラーリのフェルナンド・アロンソ、そして3位にはポールポジションを獲得したセバスチャン・フェテルが入った。

上位3人の勝敗を分けたのはタイヤ戦略の違いだ。レーススタート時、3人が履いていたタイヤはスーパーソフトと呼ばれる軟らかい側のタイヤ。スタート後、セバスチャン・フェテルは7周目、アロンソとライコネンは10周目にミディアムと呼ばれる硬い側へ履き替える、最初のタイヤ交換を行った。その後フェテルは22周目と38周目の合計3回、アロンソも21周目、40周目の合計3回交換を行ったのに対して、ライコネンは35周目だけの合計2回交換だった。

では、なぜフェテルやアロンソは2回交換にしなかったのか。それは、今年のピレリタイヤがより軟らかく、かつタイムを出せる寿命が短くなる構造へと変更されたことで、レース中、タイヤ交換回数を少なくするギャンブルを仕掛けるリスクが高まったからだ。優勝したライコネンにしても、昨シーズンの中国GPでは、チェッカーを目前にしてタイヤの寿命が来てしまい、一気に後続に抜かれて14位に終わるレースを経験している。その特性を知る多くのチームは3回のタイヤ交換戦略を取ったのだ。このリスクに対して、フェラーリのタイヤコンサルタントを務める浜島裕英は「彼はフリー走行でちゃんとタイヤの寿命を確認する走行をしていましたね」と、無謀なリスクではなく周到に準備を進めたライバルを称えた。

ところで決勝レース前、今シーズンの予想を元F1ドライバーのジョニー・ハーバートに聞いたところ、「今年もレッドブルは強い。しかし、フェラーリの力はかなり拮抗してきた。そしてレースではロータスが速いだろう。昨年は目まぐるしく勝者が変わるレースが続いたが、今年は、フェテル、アロンソ、ライコネンの3人が中心となり、そこにメルセデスの2人、ルイス・ハミルトンとニコ・ロズベルク、さらにマクラーレンのジェンソン・バトンが加わる争いになるだろう」と答えてくれた。レース結果はまさに予想通り。どうやら今シーズンも目が離せない戦いとなりそうだ。(モータージャーナリスト・田口浩次)