3月3日、F1チームは開幕戦に向けた最後の合同テストをスペインのバルセロナで終えた。最終テストが行われたカタロニアサーキットは、スペインGPを開催するサーキットであり、チームの実力を計るには最適の地だ。過去3年間のバルセロナテストを見ると、2010年は最終日のトップから1秒以内に8人のドライバーが入り、シーズンは最終戦まで3チーム4人のドライバーが王座を争う大混戦だった。翌2011年は最終日が雨でその前日データだが、5人のドライバーが1秒以内に入った。シーズンはレッドブルの独走だった。そして昨シーズンは、最終日のトップから1秒以内に再び8人のドライバーが並んだ。結果、8人の勝者を生む波乱のシーズンとなった。つまり、ここでタイム差が少ないとシーズンは混戦となり、タイム差があると独走するチームが生まれてきたのだ。

その傾向を踏まえて今年の最終テスト結果を見ると、トップはメルセデスのニコ・ロズベルクで1分20秒130。1秒以内につけたのはフェラーリのフェルナンド・アロンソだけだった。しかも、ロズベルクのタイムは過去3年間のバルセロナ最終テストと比較してもトップのタイム。これより速いタイムとなると、2009年、マルチディフューザーと呼ばれるダウンフォースを圧倒的に高める仕組みを発見し、ルールの穴をかいくぐったブラウンGPのテストタイムまで遡る。この年、ブラウンGPはバルセロナ最終テストでライバルたちより1秒近く速く、シーズン前半に連勝、シーズン後半はレッドブルによる追撃を振り切って、ジェンソン・バトンが王座を獲得している。

最高の結果でテストを終えたロズベルクだが、本人の口からは「マシンの状態は良い。でも、まだテスト結果であってレースじゃない。ライバルも手の内を見せていない部分があるだろうから」と謙遜する。ちなみに2009年に衝撃的な速さでテストからライバルを圧倒したジェンソン・バトンは、「マシンの感触は良いね。でも、テストのタイムには意味がないよ」と答えていて、ロズベルクの発言は、当時のバトンを彷彿させる。

レッドブル、フェラーリ、そしてマクラーレンの3強が大きく落ち込むことはないだろうが、少なくともテスト結果はメルセデスが飛躍することを示している。さあ、2013年シーズンスタートだ。(モータージャーナリスト・田口浩次)