日本ボクシング界最大のホープとして期待される日本ライトフライ級5位の井上尚弥(大橋)が4月16日、日本同級1位の佐野友樹(松田)とデビュー3戦目に臨む。この試合はゴールデンタイムに全国生中継される計画が進んでいる。

井上は1月に2戦目を行い、このときも生放送されたが、昼間の興行。最近は世界タイトルマッチでもゴールデンタイムに放送されないことも多いだけに異例の生中継ともいえる。それだけ井上の将来性には無限の可能性が秘められている証明で、所属ジムの大橋秀行会長が「世界王者にならなければおかしい逸材」と表現するほど。確かに井上の洗練されたボクシングを見ていると大橋会長の言葉が決してオーバーではないと感じるほどだ。

中学生時代から才能は秀でており、高校生初のアマチュア7冠を達成。惜しくもロンドン五輪予選は突破できなかったが、昨年10月、鳴り物入りでプロデビューを果たした。いきなりA級(8回戦)で登場、フィリピン人を相手に4回KO勝ち。この時は深夜録画だった。続く第2戦ではタイのライトフライ級王者を迎え、1回、鮮やかな左フックのカウンターを決め、またもキャンバスに沈めた。この一打はスピード、威力とも文句なし。豊かなボクシングセンスが光り、井上株は急上昇を続けている。

2012年のプロボクシング部門の年間表彰で早くも新鋭賞を受賞。トップアマから転向した歴代エリートの中でも抜群の存在感がある。往年の例をひもといても、桜井孝雄、具志堅用高、ロイヤル小林らの超エリートと比べ、デビュー2戦目でこれほど輝いているボクサーは皆無に近い。ロンドン五輪に出場した須佐勝明も「井上の巧さは並ではない。あれほどの才能は別格」と脱帽するほどだ。

その井上が大きな目標にしているのが、井岡一翔(井岡)が持つ7戦目での世界獲得最短記録の更新だ。日本は4月から従来の世界ボクシング協会(WBA)、世界ボクシング評議会(WBC)に加え、国際ボクシング連盟(IBF)、世界ボクシング機構(WBO)にも加盟する新時代を迎える。世界へのチャンスは増えたが、逆に挑戦資格は厳しくなる。井上も5戦目までに日本か東洋太平洋のタイトルを獲得することが条件だ。しかし、今の勢いなら難なくクリアするのではないか。間違いなくスーパーヒーロー誕生の予感がする。(津江章二)