1月19日のロータスを皮切りに、F1チームが続々と2013年シーズンを戦う新車を発表。2月5日からスペインのヘレスサーキットで合同テストが始まった。実は2014年からV6ターボエンジンで車体も大幅な変更がレギュレーションと呼ばれるルールで決定しているため、今年2013年のマシンは従来のレギュレーションでは最後の一年になる。そのため、各チームのマシンを見比べると少し興味深い点が見受けられた。それがフロントノーズの形状の違いだ。

昨年、段差ノーズと呼ばれるフロントノーズ形状が議論となった。レギュレーションの解釈を突き詰めた結果、フェラーリやレッドブルなど多くのチームが醜い段差ノーズを持つマシンを発表。この段差ノーズは、ファンや関係者の評判が非常に悪く、F1のレギュレーションを決定する組織のFIA(国際自動車連盟)が、対応策として化粧パネルと呼ばれるカバーの取り付けを許可したほどだった。

そして今年、フェラーリやフォースインディアなどが化粧パネルを採用して段差ノーズを解消した。しかし、レッドブルやケータハムなどいくつかのチームは段差ノーズを残している。というのも、段差ノーズを解消するということは、これまで蓄積した段差ノーズの空力データを捨てることでもある。F1マシン開発にチームが利用する風洞施設は、通常でもクリスマス休暇や8月の夏休み時期を除いて、ほぼ毎日稼動している。それに加えて2014年シーズンに向けた試作はすでに始まっており、新たなノーズ形状開発と同時進行させるためには、外部の風洞施設を追加で利用するなど、費用面でも人材面でも大きな負担がかかる。

そのため段差ノーズで良い空力データを持つチームや、2014年の大幅変更を前に今年は活動資金の支出を抑えたいチームは化粧パネルを採用しなかった。ただし、そうした理由を真正直に発表するはずもなく、ヘレステストで取材を受けたチーム関係者は「化粧パネル採用による重量増加と空力データの向上分を比較した結果、重量増加の悪影響が大きいと判断したので段差ノーズを採用した」とコメントしている。果たして、段差ノーズを残したチームが正解だったのか、新たに美しいノーズ形状を手にしたチームが正解なのか、その結果は間もなく判明するだろう。(モータージャーナリスト・田口浩次)