2013年を迎え、各チームは2月5日からスペインのヘレスサーキットで始まるテストに向けて、最後の追い込み中だ。通常、トップチームの新車開発スケジュールは、5月前後に翌年のマシンコンセプトを固め、レギュレーションに沿った各パーツ類や、風洞実験を繰り返して、8カ月前後かけて新車が登場する。F1の場合、エンジンは自動車メーカーや外部メーカーの製品を使用することが許されているが、シャシーと呼ばれる車体部分は自社開発であることが義務付けられている。そのため、各チームは少なくとも車体開発をするための最低限の設備と人材を備えなければならない。しかも、時代の流れや技術の進化によって、中長期的には設備のリニューアルや多額の追加投資を迫られる。レース活動費に加え、こうした負担の大きさこそがF1チーム運営の高いハードルのひとつだ。

そんな中、今年チーム本拠地となるファクトリーに新たな追加投資を決定したチームがある。1947年に設立され、1950年のF1発足時から唯一エントリーを続けているチーム、フェラーリだ。もともとフェラーリは、創業者のエンツォ・フェラーリが自身のレーシングチームを1929年に立ち上げ、そのチーム運営を安定化させるため、市販車の販売を始めた。その後、経営難でフィアットグループ入りするなど、紆余曲折はあったが、2011年の時点で、フェラーリは7195台の市販車を販売。これは過去最高の数字であり、2012年も過去最高を更新するだろうと言われている。フェラーリにとってレースで勝利することは、ブランド力を高めるマーケティング活動に直結しているのだ。

そのフェラーリが、マラネロにある自社の敷地内に新しく建設するのが、マネージメント部門とエンジニア部門、そして管理部門が入る、チーム運営の要となる頭脳が集中するビルだ。また、風洞施設も最新のものへとアップデートすることを決定している。これらを「次の時代に向けた投資」だとフェラーリ会長のルカ・ディ・モンテゼモーロは断言した。モンテゼモーロの強いリーダーシップの下、着々と手を打つフェラーリは、2008年以後獲得していないコンストラクターズタイトル、そして2007年以降獲得していないドライバーズタイトルの奪還に向けて新たな一歩を踏み出したと言えるだろう。(モータージャーナリスト・田口浩次)