大みそかに東京で3試合、大阪で2試合の世界戦が開催される。日本で一日に世界戦が5試合も行われるのは初めて。その中、最も注目の一番といえば、井岡一翔(井岡)がホセ・ロドリゲス(メキシコ)とグローブを交える世界ボクシング協会(WBA)ライトフライ級王座決定戦だろう。井岡は勝てばわずか11戦目での2階級制覇。スター街道をひた走る俊英が一気に快挙を達成する可能性が膨らんでいる。

この王座決定戦が発表されたとき、疑問に感じたファンも多いのではないだろうか。WBAの正規王者は日本にもおなじみのローマン・ゴンサレス(ニカラグア)で、既に5度の防衛に成功している。パワー、テクニックとも出色で、自他共に認める一流王者である。ところがゴンサレスがスーパー王者に昇格、このため王座が空位になったという説明だ。井岡は思い切ってゴンサレスに挑戦、というのがファンの本音。それだけにここは文句なしの内容で白星を手にし、ゴンサレスとの決戦に臨んでほしいものだ。

2009年4月のデビュー以来、井岡はあっという間にスターの座をつかんだ。11年2月には国内最速の7試合目で世界ボクシング評議会(WBC)ミニマム級王座を獲得。今年6月にはWBA同級王者の八重樫東(大橋)と王座統一戦を行い、息詰まる打撃戦を制した。その後、タイトルを返上。再び頂点を狙い、本来のライトフライ級に転向した。減量苦からも開放され、不安は感じられない。

突然の世界戦決定にも戸惑いはなさそうだ。当初、大みそかの試合はノンタイトル戦が濃厚だったが、「やはり世界戦が決まったことはうれしい。相手の研究も映像でチェックしています」と頼もしい。ロドリゲスは元WBA暫定王者だが、4月に判定で敗れ、プロ初黒星を喫したばかり。ただ、28勝中、17KOという数字は警戒した方がいいだろう。右のボクサーファイターで、一発にかけてくるはずだ。

試合はスタートから激しい攻防が予想される。井岡はロドリゲスのインファイトを左ジャブでけん制しながら機を伺いたい。「6月の統一戦では内容に満足していない。今回はこれがボクシングという試合をしてみたい」と意欲をのぞかせている。将来的には3階級~4階級制覇まで視野に入れる井岡。ここは通過点の試合として負けるわけにはいかない。(津江章二)