日本代表が強くなるためには、やはりその在り方に再考の余地があると思う。バスケットボール女子のWリーグのことだ。今季は、昨季までの2部4チームを吸収してチーム数が8から12に増えた。それに伴って上位勢同士の対戦回数が減り、上位と下位では実力差が大きすぎるために大差がつく試合が増えた。代表の主力が所属する首位のJXはレギュラーシーズンを22戦全勝で終え、昨季1試合もなかった100得点以上を5試合で記録した。「リーグの最大の目的は日本代表の強化につながるかどうかなのに、これでは強化にならない」と心配する関係者は少なくない。試合開始前から勝ち負けが予想できる試合が多く、興行としての魅力がそがれてしまっているという面もある。

今回の吸収は“弱者"である2部チームの救済という側面が強い。昨季終了後に東京海上日動が脱退し、チーム数が減った2部は単独でのリーグ運営が困難となった。そこには前身が企業の日立甲府のクラブチームの山梨や、来季クラブ化する荏原といった、企業の丸抱えではない形で存続の道を模索するチームもある。リーグは「企業の休廃部が相次ぐ中で、こうしたチームを切り捨てていては、将来の発展はない」(幹部)と吸収に踏み切った。

問題は、単純な下部リーグの吸収では、代表の強化に直結する“強者"の上位チームの選手にメリットがないという点にある。明らかに実力で劣るチームとの試合が増えた強豪チームのある選手は「正直、下位との試合では、若い選手が緩んでいるのが分かる。葛藤があるし、フラストレーションがたまる。リーグがぬるま湯になれば、世界に置いていかれるという危機感がある」と切実な思いを吐露した。

例えば12チームを、6チームずつ1部と2部にもう一度再編するという手もあったはずだ。それができないなら、少なくとも上位と下位の戦力差を是正するための何らかの手だてを講じるべきではなかったか。新人選手獲得が自由競争のWリーグは、一部の上位チームが強豪の高校との太いパイプを生かして、ほぼ毎年のようにトップ選手を獲得する状況に拍車がかかっている。もちろん、ドラフト制度があれば違っただろうが、実現にはハードルが多い。ならば、すぐに打てる手は、1994年に廃止された外国人選手枠の復活ぐらいしか見当たらない。

94年当時にこの制度が廃止になったのは「日本人のプレー機会を増やす」「外国人頼みのバスケから脱却する」という理由に加え、企業が外国人獲得による選手人件費の増大を怖れたのが一因だという。ただ、女子で世界最高峰の米プロリーグ、WNBAレベルの選手でさえも、実はそれほど高額な年俸をもらっているわけではないと聞く。WNBA選手もオフシーズンには少しでも報酬を稼ごうと世界中のリーグに渡ってプレーしているぐらいだ。あるチームの強化関係者は「日本なら環境もいい。極端に言えば、日本人よりお金をかけなくてもかなりレベルの高い選手は来るだろう」とみる。「例えばチーム間の戦力差をうまく埋めるために、契約できる外国人選手の数を前のシーズンの12~10位のチームは3人、9~7位は2人、といったように下位から上位へ少なくする方式を採用してみてはどうか」と訴えた。

国内の最大の強化の場は、Wリーグだ。日本女子は北京、ロンドンと2大会連続で五輪に届かなかった。女子サッカーのように海外リーグに積極的に選手を送り出していくのも一つの有効な強化の手段だとは思うが、やはりWリーグが「アジア最強リーグ」にならなければ、日本代表がアジア予選を勝ち抜く力を蓄えるのは難しいのではないか。ライバルの中国や韓国のリーグでは、今季もWNBAの選手がプレーしている。チーム数、新人獲得制度、外国人枠の復活…。検討すべき課題は山積みだ。今こそリーグ、各チームが一丸となって、選手がより高いレベルで競い合えるような環境を整えるべく、手を取り合ってほしいと、切に願う。

長谷川大輔 1980年、千葉県生まれ。2003年共同通信社入社。大阪、広島でプロ野球を取材し、09年から東京で水泳、バレーボール、バスケットボールなどを担当。