2013年から最高峰のモトGPにステップアップする19歳のマルク・マルケスが、早くも各方面から熱い注目を集めている。2012年のモト2クラスで全17戦中9勝を挙げて総合優勝を達成したマルケスは、来季、ホンダファクトリーのレプソル・ホンダ・チームに所属することが決定している。

年間最終戦バレンシアGPを終えた翌々日の11月13日から2日間は来年に向けた最初のテストが行われ、彼のモトGPマシン初ライドに大きな注目が集まった。だが、2日間とも雨天になったため、結局このテストでマルケスは走行を見合わせることになった。彼の走りを見ようと集まった各国メディアにしてみれば肩すかしをくらった格好だが、たとえ走行しなくてもひと言だけでも来季に向けた意気込みを聞こうと大勢の取材陣がレプソル・ホンダのピットボックス前に集合した。ガレージから文字どおり溢れそうになるほどの人数の多さが、マルケスに対する期待の大きさを何より雄弁に物語っていた。

この時の取材でマルケスは「月末にはマレーシアでテストを行うから、今回乗れなくても焦ってはいない。電子制御やタイヤ、ブレーキングなど学ぶべきことはたくさんあるので、まずはモトGPマシンに順応し、愉しくバイクに乗れるようになりたい」と話した。

中小排気量時代から常に大きな注目を浴びてきたこととも関係しているのだろうが、質問に対して物怖じせず受け答えをする半面、波紋を呼びそうな表現や言質を取られそうな表現は慎重に避ける賢明さが印象的だった。

11月26日から28日には、マレーシアのセパンサーキットでテストを行った。これが事実上のモトGP初走行ながら、同地最速記録(2分00秒334=ホルヘ・ロレンソ、2012年)にわずか1秒差と迫る2分01秒355の自己ベストタイムを記録。来季に向けてさらに周囲の期待を大きく高めることになった。

参考までに、マルケスにとって同郷スペインの先輩ライダーで来季のチームメートになるダニ・ペドロサがモトGPへデビューしたのは2006年だが、この年の開幕戦では2位表彰台を獲得、年間総合成績は5位で終えた。同じくスペイン出身で2012年総合優勝を達成したロレンソも、2008年のモトGPデビューイヤー開幕戦では2位表彰台。年間成績は4位。マルケスに対しても、少なくとも彼らと同様の成績を収めることが期待されていると考えていいだろう。実際に、スペインのバイク雑誌ではすでに、来季の彼の活躍を予測する特集も組まれているほどだ。

開幕戦カタールに向け、年明けの2月からマレーシアで事前合同テストが始まる。灼熱のセパンサーキットでマルケスは、間違いなく話題の中心にいることだろう。(モータージャーナリスト・西村章)