2013年のモトGP年間スケジュールが、FIM(国際モーターサイクリズム連盟)から11月23日に発表された。これにより、来年のカレンダーは事実上確定したことになる。当初の暫定スケジュールでは、年間19戦が予定されていたが、最終的には18戦で決着した。以前から噂されていたとおりポルトガルGPが消滅し、新たにアメリカ合衆国のサーキットオブアメリカ(テキサス州オースティン)で行われるアメリカスGPが加わった。懸案事項になっていたアルゼンチンGPは2013年の開催を見送り、2014年からの開催として検討されることになった。

南米大陸でのモトGPは、2004年のリオGP(ブラジル)を最後に、この8年ほどは開催されていない。アルゼンチンでは1999年まで、ブエノスアイレスでレースが行われた。昨年来、モトGPの興業を主催するDORNAスポーツ社とアルゼンチン側の間で交渉が進んでいると報告されていたが、今年の6月に合意が交わされ、記者発表も大々的に行われた。開催地は、従来のブエノスアイレスサーキットではなく、そこから北北西の内陸部へ約1000キロほど移動した同国第7の都市サンティアゴ・デル・エステロ。移動手段もさることながら、最大の懸念材料として注目が集まったのは、アルゼンチンとスペインの間に横たわる政治的緊張の解決だ。

ことの発端は、スペインを本拠とする世界屈指の資源企業レプソル傘下のYPF社を、アルゼンチン政府が今年4月に接収し、国有化した一件だ。スペイン側は政府首脳が公的な場でこの行為を非難し、駐在大使を自国へ呼び戻す事態に発展した。レプソルはホンダワークスチームをはじめ、スペイン人選手を多く支えていることでも知られている。スペイン政府は同社と関係の深い選手や関係者に対して、安全上の理由から渡航を自粛する勧告を行った。だがこれは実質的に、治安や渡航安全性というよりもむしろ、政治的駆け引きの側面が強いようにも見えた。6月のレース開催記者発表の場では、これらの問題に関する質問も出たが、DORNAスポーツ社CEOカルメロ・エスペレータは「近いうちにいい方向で解決されるはず」との観測を述べていた。

政府から選手やレプソル関係者への自粛要請は11月20日に撤廃されたが、DORNAからFIMへの年間スケジュール提出期限は同月18日とされていたため、結果としてアルゼンチン開催は2014年へ先送りになった格好だ。

欧州ではこの数年、不況の影響もあって観客動員数が減少し、欧州以外の地へ開催地を求める傾向が強くなっている。EUの経済が劇的な改善を見せないかぎり、南北アメリカや東南アジア等へ活路を求める流れは今後も続くだろう。(モータージャーナリスト・西村章)