1950年から始まったF1は、63年目を迎え、過去最大の20戦という過密スケジュールをこなしつつ、2012年シーズンの最終戦ブラジルGPを迎える。チームが競うコンストラクターズチャンピオンシップは、レッドブルが3年連続でタイトルを獲得したが、ドライバーズチャンピオンシップは、レッドブルのセバスチャン・フェテル、フェラーリのフェルナンド・アロンソの二人が、最終戦で雌雄を決する。

これまでに獲得したポイントは、フェテルが273ポイント、アロンソは260ポイントで13ポイント差。現在のF1レギュレーションでは、優勝者に25ポイント、2位に18ポイント、以下3位から10位の入賞者までに、それぞれ15、12、10、8、6、4、2、1ポイントが加算される。これを見ると、フェテルが有利な状況に見えるが、関係者の多くは「ポイント差は無いに等しい」と見ている。

というのも、2010年、フェテルが初めて王座を獲得したシーズンの最終戦、当時のランキングトップはアロンソで、ランキング2位にはレッドブルのマーク・ウェバーが8ポイント差でつけ、フェテルは15ポイント差でランキング3位だった。誰もがアロンソとウェバーによるタイトル争いを予想するなか、フェテルが優勝、アロンソは7位に終わり、フェテルが大逆転で初王座を獲得したからだ。

2010年とは逆の、追う立場となったアロンソは、最終戦でのタイトル争いへの心情をこう表現した。「僕にとって最終戦で王座を争うのは4度目の体験だ。最初は2006年の最終戦。ミヒャエル・シューマッハーと争った時は、睡眠も充分とれず週末を通じてストレスを感じていた。2度目は2007年でキミ・ライコネン、ルイス・ハミルトンと争った。これもまたストレスを感じる週末だった。3度目は2010年で相手は今回と同じセバスチャン・フェテルだった。王座は逃したが、やりきった気分の最終戦だった。そして今年だ。ミスをすれば負ける。たしかにフェテルは素晴らしいマシンを持っているが、僕は素晴らしいチームと共にある。正直な所、自分でも驚くほどにリラックスした状態だ。後はベストを尽くすだけだね」

1950年以来、唯一63年間参戦を継続しているフェラーリ。その伝統のチームに新たな栄誉が加わるのかどうか、世界中のファンが固唾をのんで見守っている。(モータージャーナリスト・田口浩次)