現在、セバスチャン・フェテルとフェルナンド・アロンソによる熾烈なタイトル争いが展開されている中、日本では国内最高峰カテゴリーのフォーミュラレース、『フォーミュラ・ニッポン』の最終戦が鈴鹿サーキットで開催され、元F1ドライバーの中嶋一貴が年間王者のタイトルを獲得した。

このフォーミュラ・ニッポンは、1996年からスタートした日本独自のフォーミュラレースで、ラルフ・シューマッハーやペドロ・デ・ラ・ロサなどがF1へステップアップを果たし、さらにフォーミュラ・ニッポンの前身だった全日本F3000選手権時代にも、エディ・アーバインやジョニー・ハーバートなどを選出した。しかし、近年はGP2やフォーミュラ・ルノー3・5といったヨーロッパ中心のカテゴリーからF1へ進むのが王道となり、佐藤琢磨、中嶋一貴、小林可夢偉といった日本人ドライバーでさえ、F1前にフォーミュラ・ニッポンを経験していないことで、ガラパゴス化が証明されてしまった。

だが、現在フォーミュラ・ニッポンの現場で戦っているドライバーやエンジニアのレベルが、低いかというとそんなことはない。中嶋一貴は「ハードはGP2と遜色ないし、ドライバーはGP2ドライバーよりレベルが高い」と太鼓判を押すし、エンジニアレベルもF1でそのまま働けるスタッフがいるほどだ。では、何が問題なのか? F1番組の解説者であり、数々のF1ドライバーを育ててきた森脇基恭は『発信力』の問題が大きいと指摘する。

「F3000時代はF1関係者もヨーロッパF3000と日本のF3000という風にとらえていて、全日本F3000の結果を常にチェックしていました。それが現在では“フォーミュラ・ニッポンってF3の上、それとも下のカテゴリー?"と聞かれている。これは日本側からの情報の発信が少ないことが原因だと思います。地理的に遠いのだから、F1関係者は近くてレベルの高いフォーミュラに目が向くのは当然でしょう」

フォーミュラ・ニッポンは、来年から『スーパーフォーミュラ』と名称が変わり、再来年には新シャシーを導入し、魅力を強化するという。しかし、本当に必要なのは、F1パドックに毎回チーム関係者を送り込むなど、常に日本の存在を示す発信力強化なのかもしれない。(モータージャーナリスト・田口浩次)