プロレスを定期的に取材しているフリーのカメラマンによると、プロレス人気はひと頃よりかなり上昇した現実を実感するという。新日本プロレスの後楽園大会などはコンスタントに満員の観客が入り、間違いなくファンが戻っているそうだ。

一方、まだ正式通達はされていないが、信ぴょう性の高い情報として、ブシロード体制となった新日本はマスコミの取捨選択を断行し、掲載媒体を持たないフリーのカメラマンや記事の扱いが小さいメディアのカメラマンは、リングサイドから“排除"する話が進んでいるらしい。

一瞬、「?」と思った。リングサイドを大勢のカメラマンが取り囲むのは、その団体の勢いでもある。話を聞いてみると、カメラマンのためリングサイドの観客がいいシーンが見えなくなることがよくあるからだという。

大きな力を持つメディアなら、リングサイドの客に我慢願ってでも取材させる価値があるだろうが、現在の扱いならその必要はない、ということか。確かに、時に1万円を超えるお金を払ってリングサイドに座ってくれる上客を第一に考えることは一理ある。

だが、そうなってくると、やられた側も「もうプロレスはいい」となり、さらにスペースを縮小したり、扱いを完全にやめてしまうことも考えられる。かつて東京スポーツとデイリースポーツ以外のスポーツ紙はプロレスを一切扱わない時代があったが、その時代に逆戻りするか?

しかし、当時と今が違うのは、インターネットの存在だ。新日本プロレス自体がネットで多くのファンに対して情報を発信できる。マニアックなファンはスポーツ新聞ではなくネットの情報、さらにはネットによる裏情報をゲットして楽しんでいる。もうスポーツ新聞に頼る時代ではないのかもしれない。

とはいっても、多くの新聞の紙面を飾ることはステータスという意味からしても必要なことだと思う。マニアックなファンだけの世界でいいのか。筆者は、やはりプロレスがスポーツ紙の1面で扱われていた時代がなつかしい。(格闘技ライター・樋口郁夫)