そろそろ夏休みを終えた学生も多いだろう。そしてF1シーズンも長い夏休みが終わったが、モータースポーツはF1だけじゃない。F1の夏休み中にも、インディカーシリーズ、ドイツツーリングカー選手権、FIA世界耐久選手権と、数々のトップカテゴリーレースは行われていた。そして、それらトップカテゴリーの参加ドライバーを見渡すと、意外にもF1経験者が多い。インディカーシリーズの佐藤琢磨やルーベンス・バリチェロは有名だが、ドイツツーリングカー選手権にはラルフ・シューマッハーやデビッド・クルサードが参戦しており、FIA世界耐久選手権には中嶋一貴やアレキサンダー・ウルツが参戦中だ。

こうしたF1とは違うカテゴリーで気になるのは、果たしてF1とは何が違うのか? カテゴリーのレベルの高さも気になるところだが、チームメートの関係やライバルチームと距離感など、F1との違いを聞いてみたい。そこで、FIA世界耐久選手権で8月26日に開催されたシルバーストーン6時間耐久で見事2位表彰台と、トヨタの参戦初表彰台を飾った中嶋一貴に違いを聞いてみた。

「そうですね、僕たちトヨタやライバルのアウディというトップチームに限って言えば、エンジニアリング面やチーム環境などは、F1レベルと言って間違いないと思います。違うのは、チームメートはもちろんですが、ライバルチームとも紳士的な関係というか、カテゴリー全体で一体感があることでしょうか。これはル・マンからくる個性なのかもしれません。F1はもう少し勝負の部分で、ライバルチームとは相容れないというか、あらゆる部分で鎬を削っています。もうひとつ違うのは、F1はトップチームから最下位のチームまで、速さは違いますが、FIA世界耐久選手権では実際にカテゴリー自体が違うチームが混走しているので、より差が大きく、注意する必要があることです」

紳士的な関係。それを具体的にどこがどう違うと説明することは、なかなか難しいと中嶋一貴は言葉を濁したが、トップチームならば年間数百億規模の予算を、たった2台のマシンにつぎ込むことを考えると、必然的に鎬を削る関係になることは想像に難しくない。(モータージャーナリスト・田口浩次)