パドックを賑わせる選手移籍情報のうち、大きな枠がふたつ埋まった。第9戦イタリアGPに先だつ7月12日に、ホンダファクトリーチームのレプソル・ホンダがダニ・ペドロサの契約更改と、マルク・マルケスのモト2クラスからの昇格を発表した。契約期間はともに、2013年と2014年の2年間。

両選手はともにスペイン人で、現在26歳のペドロサは、2003年に125CC(当時)、2004年と2005年には250CC(当時)の王座を獲得し、2006年に最高峰へ昇格した。初年度からファクトリーチームのレプソル・ホンダに所属し、ホンダが最もチャンピオンを獲らせたい選手とも言われている。怪我に泣かされる年が続いたが、2012年は、ここまでの9戦中8戦で表彰台を獲得する高水準の安定感を発揮。現在、首位から19点差のランキング2位につけている。

一方のマルク・マルケスは、1993年2月17日生まれの19歳。2010年に125CCクラスでチャンピオンを獲得し、翌2011年にモト2クラスへステップアップした。この年いきなりチャンピオン争いを繰り広げ、器の大きさを強く印象づけた。2012年にモトGPクラスへの昇格も期待されたが、結局、同クラスに残留。来年こそ最高峰クラスへの昇格は確実と目されており、予想どおりに事態が運んで今回の発表となった。今シーズンはイタリアGPまでの9戦中で4勝。ランキングでは、2番手の選手に34点差という大量リードを開いて首位を快走している。

来年のホンダファクトリー両選手がスペイン人で、しかもチームのタイトルスポンサーがスペインの大手石油企業レプソルS.A.なのだから、同国の人々にしてみれば、まさに<ドリームチーム>が結成されたといっていいだろう。

今回の最高峰昇格に際して、マルケスは以下のような声明を発表した。

「レプソルホンダチームでモトGPクラスに参戦する夢がかない、自分を見込んでくれたHRCに感謝をしたい。ホンダファミリーの一員となることを誇りに思うとともに、バイクに乗り始めた頃から自分を支えてくれる方々への感謝の念を新たにしている。今の自分の目標は、モト2クラスで目標を達成することなので、全力を集中してチャンピオンを獲得したい」

来春のデビューに先だち、開幕前準備について気の早い質問も飛び出した。HRCチーム代表の中本修平はこれらの問いに対し、「彼はルーキーなので、今年の最終戦後から来年の開幕前テストまでの間に(モトGPマシンへ順応するための)テストを実施したいと考えているが、詳細はまだ決めていない」と回答している。

人気実力とも一級品となることが確実な逸材だけに、モトGPの将来を担うマルケスへの期待はすでに各所で大きくふくらみはじめているようだ。(モータージャーナリスト・西村章)