4月29日に決勝レースが行われた第2戦スペインGPのモト2クラスで、中上貴晶は5位の結果を得た。前日の予選では0.008秒の僅差でポールポジションを逃し2番グリッドからのスタート。戦いの舞台ヘレスサーキットは中上の得意コースで、3月に行われた開幕前事前テストでも好感触を得ていた。開幕戦では14位という不本意な結果に終わっただけに、今回こそ好結果を残すべく意気込んでレースウィークに臨んだ。

金曜から土曜午前の練習走行までは悪天候にも翻弄され、中上は思い通りの走りをできなかったものの、午後の予選では一転して好結果。

「手に届くはずのポールポジションを逃しただけに悔しさも残る微妙な気持ち。自分の思いどおりに振り回せるバイクに仕上がってきたので、明日が晴れなら決勝レースは確実に表彰台争いができると思います」と自信を見せた。

今回のレースでは、中上が全日本選手権時代に所属していたハルク・プロの本田重樹オーナーが応援に訪れていたことも心強い要素になった。

「初日からずっとピットにいてくれて、コースサイドでも走りを見て的確なアドバイスをしてくれた。本田社長がいなければ、もうちょっと苦戦をしていたと思います」と中上。一方の本田も「練習走行では全然ダメだったから、もう日本に帰っちゃおうかなと思ってたんだけど、やっと本来の彼らしい走りになってきて、少し安心した」と破顔する。

日曜午後12時20分に始まった決勝レースは、ドライコンディションとはいえ、前日の雨の影響でところどころ路面が湿った難しい状況。中上はレース序盤でペースを抑えすぎたために一時は11番手にまで落としたが、その後は着々とペースを上げ、18周目には表彰台を射程に入れる4番手に浮上した。さらに前との差を詰めようとして19周目に入ったとき、雨が激しくなりレースが中断。後方の選手はまだ18周目の途中だったため、17周終了時の順位がレース結果として成立することになった。本来なら26周のレースで終盤の追い上げを狙っていた中上は、ピットボックスに戻ってくると開口一番、「うーん……、かなりがっかりですねえ」と残念そうにつぶやいた。

「トップ集団よりも速いペースで追いかけながらあと7周も残している状態だったから、雨さえ降らなければ確実に表彰台争いはできていたと思う。普通に考えれば5位でも喜ぶべきなのかもしれないけど、でも今は悔しい気持ちのほうが強い。この悔しさを来週のポルトガルGPにぶつけて、少なくとも今回と同じかそれよりも上の結果を狙っていきたいと思います」

興奮気味の口調も、話すうちにやがて冷静さを取り戻し、笑顔で次戦に向けた抱負を語った。今週末に行われる第3戦ポルトガルGPでは、目の肥えた欧州の取材陣からも有力選手のひとりとして注目されていることだろう。(モータージャーナリスト・西村章)