総合格闘技の世界的な普及と五輪種目入りを目指し、国際レスリング連盟(FILA)の動きが活発化してきた。FILAは現在、五輪で実施されているレスリング以外に、関節技のあるレスリングとしてグラップリング(道着着用で行う「Gi」と、道着なしの「No-Gi」)、関節技に打撃が加わったパンクラチオンとコンバットグラップリングの4種目の世界選手権をスタートさせており、今年も10月にモスクワで4種目の同選手権が行われる。

このほど、No-Giのグラップリングを「BJJ」(ブラジリアン柔術)へ、コンバットレスリングを「ミクスド・マーシャルアーツ」へ改称することを決めた。前者はブラジルや米国で盛んな柔術選手の目を向けさせるため、後者は総合格闘技の一般的な呼称を使用することで、やはり多くの人の目を引きつけるための措置。普及にかける姿勢が伝わってくる。

日本レスリング協会と傘下の日本格闘競技連盟もこの動きに呼応。5月4日にミクスド・マーシャルアーツ以外の第1回全日本オープン選手権を開催。成績優秀選手を集めて合宿を行い、世界で闘える選手を世界選手権へ派遣することになった。

日本格闘競技連盟の鎌賀秀夫事務局長は「どのくらいの選手が集まるかは分からない。とにかくスタートさせたい」と話し、柔術や総合界などへ出場選手を求めている。「純粋なレスリング選手では、世界では勝てない。専門選手を育成したい」と言う。

一方で、「グラップリングはレスリングほど心拍数は上がらない。年齢がいってもできる」という理由から、「レスリングを引退した選手にも取り組んでほしい」とも言う。米国では、2004年アテネ五輪女子63キロ級で銀メダルを取ったサラ・マクマンがレスリングを引退後に総合に進んでおり、米国レスリング協会もこのスタイルの普及と強化に力を入れている。

鎌賀事務局長は「いつまでもレスリングを引退した選手頼りでは困るが、今はだれか目玉選手が取り組んでほしい」と、五輪に出場したような選手の参加を望んでいる。日本では沈滞している総合だが、世界では着実に根が広まろうとしている。(格闘技ライター・樋口郁夫)