2012年F1シーズンがオーストラリアで開幕した。今年は過去最高の20戦を予定し、過去最高の6人のワールドチャンピオン経験者が揃うシーズンだ。しかも、6人のチャンピオン経験者が乗るマシンはどれも冬のテストから好調で、6人全員が表彰台を争えるほど各車の競争力は接近している。そして開幕戦の表彰台は、優勝がマクラーレンのジェンソン・バトン、2位にレッドブル・レーシングのセバスチャン・フェテル、そして3位にマクラーレンのルイス・ハミルトンが獲得。王者経験者が表彰台を独占した。

今後も6人の王者経験者に加え、レッドブル・レーシングのマーク・ウエバーとメルセデスのニコ・ロズベルグという次世代王者候補が優勝戦線に絡んでチャンピオンシップは推移していくだろう。そこにもうひとり、チャンピオンシップを左右する立場にあるドライバーがいる。開幕戦6位入賞を果たしたザウバーの小林可夢偉だ。

「ヨーロッパに戻るまでは“いい戦い"ができるかなと思います。レースはアロンソより上位の可能性もあったと思うけど、今回はスタートも運も悪かった」。レース後、淡々と自身の走りを振り返る小林可夢偉だったが、そのマシンポテンシャルには十分手ごたえを感じている。囲み取材では全体で7~8番手の速さがあるのでは?と問われ、「まあ、そんなもんだろうなと思います。(今年導入された速さを規制するルール変更で)僕たちも遅くなったけど、トップチームはさらに影響受けて遅くなった」

開幕戦こそマクラーレンとレッドブル・レーシングが上位を占めたが、トップチームに波乱が起きるレースは必ずあるものだ。そのとき、次の位置にいれば表彰台へのチャンスが生まれる。開幕戦も元王者のキミ・ライコネンとずっとバトルをし、最後まで抑え続け、最終ラップの混乱に乗じて6位へ飛び込んだ。

「(バトルはレース中)ほとんどじゃないですか。ずっと後ろを気にしないといけなかったから。でもセーフティーリードはあったから抑えられました」

デビュー以来、小林可夢偉は、オーバーテイクが上手く、ブロックも上手いと高く評価され続けている。今年、一度でも表彰台を獲得すればトップチームへの道もきっと開かれる。日本人初優勝への夢を抱かせてくれる存在なのだ。(モータージャーナリスト・田口浩次)