来年2月26日にさいたまスーパーアリーナでUFC日本大会が開催されることになり、11月末には出場選手が勢ぞろいして記者会見が行われた。UFCは総合がブレークする前の1997年にも横浜でイベントを行っているが、ズッファ社が買収してからは初めての日本大会。日本における総合の行方を占う大会となりそうだ。

現在のUFCの方針は「強い選手が闘う場」であること。プロ興行は、ともすると知名度が優先し、スターに 「かませ犬」をあてがうことで強さを底上げし、興行を成功させようとする傾向がある。UFCはそうした習慣を排除し、限りなくアマチュアスポーツに近い勝負の世界を作り出そうとしている。

柔道の五輪金メダリストの石井慧ですら、総合での実績がないから何の優遇も提示されないのだから、日本の格闘技団体とは違うと感じさせる。

では、UFCこそが総合の救世主になるのかと言えば、いくつかの不安を感じる。まず、UFCが米国人の手で運営されていること。偏見と受け取られてしまいそうだが、米国でメジャーな野球とアメリカンフットボールが世界に普及しないのは、米国主導だからであり、米国人の「自分たちこそ世界一」というやり方が一因だと、よく言われる。

ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の米国中心のやり方に、日本のプロ野球の選手会が反発しているように、米国人のやり方は世界的視野に立てない場合が多いように思う。

もうひとつは、あの金網が日本で受け入れられるかどうか。初期のUFCはルールの制限が少なく、バイオレンスというイメージがあって、米国社会から受け入れられなかった。ルールを確立してスポーツ化をはかり、市民権を得つつあるが、日本の茶の間に金網マッチがスポーツとして受け入れられるものかどうか。

個人的な好き嫌いを書かせてもらえば、金網マッチは好きになれない。格闘技はリングでやってほしいと思うが、世間はどう受け取るか。UFC日本大会のすぐ後には前田日明率いるリングスが再開する。総合の「冬」が終わるか兆しが見えてきたのは喜ばしい。(格闘技ライター・樋口郁夫)