サッカーの日本代表は、5大会連続の本大会出場を目指す2014年ワールドカップ(W杯)ブラジル大会のアジア3次予選C組を突破し、来年6月にスタートするアジア最終予選への進出を決めた。多くの代表選手がプレー経験のなかった中央アジアで2試合を戦い、成長の跡を見せた。

日本は9月に行われたC組初戦で北朝鮮にホームで1―0と辛勝した後、ウズベキスタンの首都タシケントに乗り込んだ。09年6月にもW杯南アフリカ大会の最終予選で日本がプレーしたピッチだが、その時は現在のチームで主力となっている香川真司(ドルトムント)やGK川島永嗣(リールス)今野泰幸(FC東京)吉田麻也(VVVフェンロ)らは出場しなかった。

その彼らが食中毒のような症状に襲われたり、芝の深い不慣れなピッチに苦しんだりで精彩を欠いた。1―1でなんとか勝ち点1を手にしたが、教訓が残った。

日本代表は、アウェー戦には必ずベテランの専属調理師を同行させる。食材もほとんどを日本から持ち込むだけに、何人かの選手が腹を下したのは衝撃だった。ある代表スタッフは「シャワーで浴びた水を口に含んだからかもしれない」と分析した。

10月にホームでの3次予選第3戦でタジキスタンに8―0で大勝した後、11月に同国と敵地で対戦した。ウズベキスタンやアフガニスタンと国境を接し、衛生環境は中央アジアでも特に悪いと言われる国だ。日本代表が試合をしたことがない未知の土地でもあっただけに細心の注意が払われ、選手は練習や試合の会場ではシャワーを禁じられた。

試合は前半こそデコボコで芝もまばらなピッチに悪戦苦闘したが、体調が良く余力が十分に残っていた後半は俊敏な連係プレーを披露して4―0で快勝した。2試合を残して3次予選突破を決めただけでなく、あらゆる面でアウェーの厳しい環境に対処できたことも大きな収穫となった。

筆者もタジキスタン出張には神経を使った。事前に肝炎や腸チフスの予防注射を受け、現地では生野菜や果物、氷の入った飲料は一切口にしなかった。生ビールも危険だと言うから断念し、歯磨きもミネラルウォーターを使った。さすがにシャワーはそのままで、かすかに目にしみたが我慢して浴びた。

タジキスタンの名誉のために付け加えておくが、首都ドゥシャンベは壮大な山脈を見渡す落ち着いた町で、住民は温厚で気配りもあった。旧ソ連とイスラム両方の文化が混在するユニークさも魅力。もう一度行く機会があれば、今度は余裕を持って観光してみたい。

戸部 丈嗣(とべ・たけつぐ)1972年生まれ。2004年11月から共同通信ローマ支局でサッカーとスキーを主に取材し06、10年W杯サッカー、バンクーバー冬季五輪などをカバー、11年2月に帰国。