日本ボクシング界は聖地ラスベガスで防衛を果たした西岡利晃(帝拳)の快挙に沸き立っているが、同じ帝拳ジムの後輩にあたるWBCスーパーフェザー級チャンピオン、粟生隆寛が「西岡先輩に続け!」とばかりに会心の試合を約束した。

その粟生の2度目の防衛戦は11月6日、東京・代々木第二体育館で行われるが、相手は同級9位のデビス・ボスキエロ(イタリア)。これまで世界挑戦の経験はないが、デビュー以来、29勝(14KO)1分けと不敗を続ける右のボクサーファイター。ガードを徹底的に堅め、ジャブ、右ストレートからチャンスをうかがう。しかし、守り中心の感は否めず、強豪との対戦も少なく、粟生有利と見るのが順当だ。

粟生に問われているのは試合の中味だろう。粟生は高校時代から非凡な才能を発揮、プロ転向後もスマートなテクニックで周囲の期待通りに成長してきた。2008年10月、最初の世界挑戦には失敗したが、09年3月、WBCフェザー級王座を獲得。初防衛に敗れた後、昨年11月、ビタリ・タイベルト(ドイツ)を明白な判定に下し、2階級制覇を達成した。難敵を下しての戴冠に評価は高まり、さらに今年4月の初防衛戦では見違えるようなパワーで4回KO勝ちを収めている。

確かに粟生は変わった。タイベルト戦までは積極性に欠ける面もあった。しかし、実力者タイベルトを攻略したことで、自信をつけたようだ。4月の試合でも4回、右のボディーブローで沈めたが、世界戦では初のKO勝ちだった。それでも「相手は減量に苦しんでいたし、本当は顔面へのパンチで倒したかった」と専門誌のインタビューに答えている。試合内容には、どん欲な姿勢も見せる。頼もしい言葉ではないか。

ボスキエロをどう仕留めるのか。ビデオ等で既に研究も済ませており、スタイル、特徴などを頭にたたき込んだという。「毎回、成長していきたい」と語る粟生が、2連続KO防衛できるかどうか、が最大の見どころだ。ディフェンシブな相手をキャンバスに沈めるのは意外に容易ではない。得意のボディー攻撃でスタミナを奪い、中盤以降に勝負をかけたい。自己のペースを忘れなければ好機は必ず訪れるだろう。

帝拳ジムは西岡の例を見るように、海外進出に意欲的なジムである。粟生もまた、世界の舞台で戦うことを考えているという。アマで77勝(27KO・RSC)3敗を誇り、高校6冠に輝き、プロでも21勝(10KO)2敗1分けと高い勝率を残している。まだ27歳と若く、飛躍の材料はいくらでもある。そのためにもボスキエロ戦では内容のあるKO防衛を期待したい。粟生の勢い、自信に注目である。(津江章二)