モトGP第16戦オーストラリアGP開催期間中の10月15日(土)、最高峰モトGPクラスに参戦する唯一の日本人選手、青山博一(サンカルロ・ホンダ・グレッシーニ)の2012年体制が明らかになった。青山は第15戦日本GPでも「ツインリンクもてぎを走るのはこれが最後になるかもしれない」と発言し、その去就に注目が集まっていたが、今回明らかになった移籍先は、別カテゴリーのSBK(スーパーバイク世界選手権)に参戦するカストロール・ホンダ。同チームと現在の所属先であるサンカルロ・ホンダ・グレッシーニがそれぞれ、15日夕刻に発表を行い、注目の帰趨がようやく決した。

2004年にHRC(ホンダレーシングコーポレーション)のスカラーシップで250CCクラスへのグランプリ参戦を開始した青山は、同クラスが終了する2009年にチャンピオンを獲得、2010年に最高峰へのステップアップを果たした。来季のシートについては、モトGPのチームから引きあいもあったものの、過去2年に走ってきたようなプロトタイプのモトGPマシンによる参戦ではなく、市販エンジンに改造を施してオリジナルシャシーに搭載する<モト1>マシンという、来年から新たに始まる体制だった。モトGPマシンとの混走になった場合に、互角の勝負ができる可能は非常に薄く、青山の望む体制からもほど遠かった。熟慮の結果、量産市販バイクを改造した車両同士で競う別カテゴリーの選手権・SBKに新天地を求めた、というわけだ。

「モトGPで2年間走る機会を与えてくれたホンダとチームには心から感謝をしています。来季から走ることになるSBKでは、ベースとなるマシンのモデルチェンジもないし、新しい部品が入ってマシン環境が劇的に良くなるわけでもない。けれども、チームとしては良いリザルトを目指すためにてこ入れをしたい、という状況があって自分に声をかけてくれた。だから、その期待には是非とも応えたい」と青山は話す。

また、来季はホンダヨーロッパとのファクトリー契約になるため、250CCクラスのKTMが2008年末に撤退して以来、『フリーライダー』としてレースに参戦してきた青山にとっては久しぶりの安心できる参戦体制になる。

移籍発表翌日の16日に行われた第16戦の決勝レースでは、ファクトリー選手のケーシー・ストーナー(レプソル・ホンダ)が独走優勝。今季9勝目を挙げ、ホームグランプリで年間総合優勝を獲得するという快挙を達成した。一方、青山はレース終盤に突然降り始めた雨に文字通り足をすくわれて、残念ながら転倒リタイア。モトGPの走行は、今週末のマレーシアGPと最終戦のバレンシアGPという2戦を残すのみになった。有終の美を飾るため、「悔いが残らないように、最後の2戦も全力で行きます」と話し、青山は唇を引き結んだ。(モータージャーナリスト・西村章)