今すぐサッカーのワールドカップ(W杯)を開催したら、日本代表はどこまで勝ち進めるだろうか。2002年日韓共催大会と昨年の南アフリカ大会で2度成し遂げた過去最高のベスト16を上回れそうな気もするし、そう甘くない気もする。

9月に始まった14年W杯ブラジル大会のアジア3次予選で、5大会連続の本大会出場を目指す日本は1勝1分けとまずまずのスタートを切った。ただ、チームは1月のアジア・カップで優勝し、8月には韓国との国際親善試合で3―0と快勝するなど相当に強くなった印象を与えて予選を迎えていた。そうした流れからすると、ホームで北朝鮮に1―0で辛勝し、敵地でのウズベキスタン戦に1―1で引き分けた滑り出しを少々物足りないと感じるファンも多いだろう。

7月にアルゼンチンで南米選手権を取材した。東日本大震災の影響でJリーグが日程変更し、この時期に代表チームを派遣することが難しくなった日本が招待参加を辞退した大会だ。「サッカー大陸」とも言える南米で各国が誇りと意地をぶつけ合う真剣勝負を見ながら、日本が出場していれば…と仮想対決を楽しんでいた。

日本は参加辞退するまで開催国アルゼンチンなどと同じ1次リーグA組に入っていた。初戦の相手はコロンビア。日本が初出場した1998年フランス大会を最後にW杯出場から遠ざかっているが、昨季の欧州リーグで得点王に輝き、ポルト(ポルトガル)を優勝に導いたFWファルカオらを擁する技巧派集団は日本を苦しめただろう。ペレアとイエペスの鉄壁センターバックコンビは、日本がアジア杯で手こずった中東勢やオーストラリアより突破が難しそうだった。中盤の底から攻撃を組み立てるグアリンを、ザッケローニ監督だったらどう抑えにかかっただろうか。

第2戦の相手はボリビア。最新の国際サッカー連盟(FIFA)ランキングは日本の15位に対して85位と格下だが、慣れないピッチでラフプレーも横行することを考慮すれば、82位のウズベキスタンに苦戦したように一筋縄ではいかなかったのではないか。

1次リーグ最後の相手はアルゼンチン。昨年10月には埼玉で1―0と勝っているが、本拠地で本気になって向かってくるFIFAランキング9位の強豪は全然別物だ。まだ連係が完璧とは言えない日本の守備陣が、世界最優秀選手のメッシに切り裂かれる光景が目に浮かんでしまう。

それでも決勝トーナメントに進んだと仮定しよう。日本が昨年W杯の決勝トーナメント1回戦でPK戦の末に屈したパラグアイは、中盤の守備がさらに強固になっていた。ことし6月に新潟での国際親善試合で0―0で引き分けたペルーは、この試合を欠場したエースストライカーのゲレロが5得点で大会得点王に輝いた。FIFAランキング44位とはとても思えないほど素早く軽やかにパスをつなげ、4位に食い込んだベネズエラも難敵だっただろう。

出場していたら、日本はアジア王者のプライドをへし折られていたかもしれない。W杯で8強の壁を破るには、まだまだ強敵が多い。それを肌で感じるためにも、やはり行っておけば良かったかなと思う。

戸部 丈嗣(とべ・たけつぐ)1972年生まれ。2004年11月から共同通信ローマ支局でサッカーとスキーを主に取材し06、10年W杯サッカー、バンクーバー冬季五輪などをカバー、11年2月に帰国。