今シーズン最大の驚きだろう―。11日に決勝を行った自動車のF1シリーズ第13戦イタリア・グランプリ(GP)で、今季2戦目となったルノーのブルーノ・セナ(ブラジル)が9位に入り、キャリア初ポイントを獲得したのだ。

セナの叔父は、元F1ドライバーのアイルトン・セナ。1980年代から90年代にかけて、マクラーレン・ホンダなどで41勝を挙げ、3度の年間総合王者に輝くも、94年のサンマリノGPで事故死した伝説のドライバーだ。

現在27歳のブルーノは幼くしてカートを始めたが、叔父の死を受けた母親がレースを禁止。10年のブランクを経た2004年に再開し、HRTコスワースから昨季、F1にデビューした。

叔父をほうふつとさせる容姿も相まって注目されたが、結果はさんざんだった。全19戦中18戦に参戦し、9戦でリタイア、最高は14位。しかも、完走した全9戦でトップに周回遅れにされる始末。お世辞にも、「レースを戦った」とは言えない状態だったのだ。

チームとの契約更新はかなわず、ルノーのリザーブドライバーとして今季をスタート。第12戦ベルギーGPから正ドライバーに昇格すると、ともに自己最高の予選7番手、決勝13位を記録。10番手発進となったイタリアGPではスタート直後の事故で順位を下げたが、追い上げて9位でフィニッシュし、「初ポイントを取れてうれしいよ」と声を弾ませた。

「F1界のサラブレッド」が苦労の末に、成功をつかみかけている。そう捉えれば喜ばしいのだろうが、ここまで成績が一変すると、別の思いがもたげてくる。それは、「マシンが良いからだけじゃないの?」。

ルノーは今季、2度の3位を始め12回入賞し、製造者部門でも5位につけている。昨季のポイントが0のHRTコスワースとは戦闘力がまるで違う。厳しい見方をすれば、予選、決勝ともトップ10入りは当たり前。今回の9位も最低限の仕事をしただけと言える。

同時にこんな想像もしてしまう。マシンの力不足に苦しみながらも着実に成績を残しているザウバー・フェラーリの小林可夢偉が有力チームに移籍したら、表彰台の頂点で歓喜する姿をみられるのではないか…と。(榎並秀嗣)