ロンドン夏季五輪の開幕まで1年を切った。各競技で出場権を懸けた戦いが本格化し、注目度が一気に高まったサッカー女子のアジア最終予選も、もうすぐ始まる。メダルが期待できそうな競技は? と聞けば、お家芸の柔道や体操、水泳、レスリング、それになでしこジャパンといったところが挙がるだろうか。だが、意外と知られていない有力競技もある。

「トランポリン」。縦4メートル、横2メートルほどのベッドと呼ばれるマットの上で連続して10回の跳躍を行い(1)回転やひねりなど技の難度(2)空中姿勢など演技の正確さ(3)空中での跳躍時間―の3要素を得点化して合計で競う。五輪では2000年シドニー大会で正式に採用された。

小さいころに遊具としてトランポリンで跳びはねた経験もあるのではないだろうか。ただ、競技となると別世界。男子のトップ選手なら、跳び上がった高さは、ビルの3階に相当する約8メートルに達する。跳躍のバランスが少しでも崩れれば、外枠に激しくぶつかってしまう。空中で見せる華やかさからは想像できないほど危険と隣り合わせで、美しさとスリルを味わえる競技だ。

トランポリンの日本選手といえば、女子でアテネ、北京の両五輪に出場し、先日引退を表明した広田遥が有名だろう。美人アスリートということで知名度も高く、私もこの競技を担当するまでは、「トランポリン=広田」というイメージが強かった。

だが、ぜひとも注目してもらいたいのは、実力者ぞろいの男子だ。まずは、伊藤正樹(金沢学院大ク)、22歳。全日本選手権は3連覇中で、世界ランキング1位に輝いた実績もある。最大の武器は、世界屈指の跳躍力。高校から金沢に「トランポリン留学」した理由の一つに「東京の練習場では天井にぶつかりそうになったから」というエピソードもあるほどだ。7月のワールドカップ(W杯)川崎大会で優勝。今季から跳躍時間点が導入されたことで、世界の頂点が近づいた。

上山容弘(大体大大学院)、26歳。世界選手権では4大会連続でメダルを獲得するなど、国際舞台での実績は日本選手で群を抜く。跳躍に安定感があり、北京五輪代表にも選ばれた。

そして、勝負強さに定評のある外村哲也(JPT)、26歳。北京五輪は3位と小差の4位だった。父は1984年ロサンゼルス五輪の体操男子で銅メダルの外村康二氏だ。

この3人、実力はさることながら、そのルックスが見逃せない。伊藤は、国際総合大会のワールドゲームズで訪れた台湾で、熱狂的なファンが出現するほどの人気ぶりだったという。お祭り騒ぎが好きな日本人は4年に1度の祭典に熱狂し、マイナー競技にも一気に知名度を上げるチャンスが訪れる。引き締まった体と端正な顔立ちの「イケメントリオ」は、今後どれほど注目を浴びるのか―。惜しいのは、男女ともに五輪出場枠は各国最大2人までしか与えられないことだ…。

井上 将志(いのうえ・まさし)2003年共同通信入社。名古屋でプロ野球中日、フィギュアスケートを担当。現在は本社運動部でフィギュア、体操、陸上を中心にカバーし、バンクーバー冬季五輪も取材。東京都出身。