全19戦を予定する今シーズンのF1シリーズは、カナダ・グランプリ(GP)で序盤の7戦を消化した。第8戦欧州GPから第13戦イタリアGPまで続く中盤戦「ヨーロッパラウンド」を前に、長足の進歩を見せる小林可夢偉(ザウバー・フェラーリ)の戦いぶりを振り返ってみたい。

何より光るのは、安定ぶりだ。7戦全てで完走し、第2戦以降6戦連続で10位以内に入り、ポイントを獲得。開幕戦オーストラリアGPも8位でゴールした後にマシンの規定違反で失格となったので、全戦でトップ10フィニッシュを果たしていることになる。

他に全戦トップ10フィニッシュしているのは、セバスチャン・フェテル(ドイツ)、マーク・ウェバー(オーストラリア)のレッドブル・ルノー勢とジェンソン・バトン(英国、マクラーレン・メルセデス)。今季のF1を走る24ドライバーで4人しかいないのだから、小林がいかにミスのない走りを持続できているのかがよく分かる。

昨シーズン同時期の成績と比較すると、このことはさらに明らかに。第7戦トルコGP終了時(カナダGPは第8戦)では、開幕から4戦連続を含む5戦でリタイアし、ポイント獲得できたのは1戦のみだった。

もう一つ際立つのが、粘り強さ。レッドブルやマクラーレンなどのトップチームと比べると、小林が乗るマシンは非力なだけに、一発の速さに左右される予選では9番手が最高で10番手以内も2度と苦戦している。

それでも、あきらめない走りで好成績につなげている。トルコGPでは最後列からのスタートに加え、レース途中パンクしたにもかかわらず、10位でレースを終えた。

昨季、苦手としたモナコGPやカナダGPで結果を出した点も見逃せない。モナコGPでは自身と日本人最高を更新する5位。7位だったカナダGPでも雨による中断を挟み30周近く2番手を走行してみせた。小林も「この2戦が一番きつい」としていただけに成長を確信したに違いない。

序盤戦の活躍で、最注目のドライバーに躍り出た小林。レッドブルやフェラーリが興味を示していると報じる海外メディアもある。とは言え、シーズンは3分の1を終えたばかり。日本人初のトップチーム入りには今後も好成績を残し続けることが必要条件だろう。チャンスをつかめるのか否か。本当の正念場はこれからだ。(榎並秀嗣)