日本体協創立100周年の節目に、スポーツ界のいわば「憲法」となるスポーツ基本法が17日に成立した。学校体育に主眼を置いた1961年制定のスポーツ振興法を50年ぶりに全面改正し、施策の推進を「国の責務」と位置付けたのが特徴だ。「スポーツ庁」設置の検討は付則に盛り込まれ、今後は初代長官に誰が就くかも注目される。

現在のスポーツ行政は五輪が文部科学省、障害者スポーツは厚生労働省、施設関係が国土交通省など複数省庁にまたがり、縦割りの弊害が指摘されてきた。スポーツ予算は約230億円なのに対し、1968年に設置された文化庁の予算は1千億円を超え、予算拡大の上でもスポーツ庁新設は関係者の悲願といえる。

官公庁をスリム化する行政改革の壁で厳しい目も向けられるが、法案成立に尽力した奥村展三衆院議員(民主)は初代長官について「個人的には民間からと考えている」と早くも人事構想に触れた。サッカー前日本代表監督で文科省参与の岡田武史氏やプロ野球の王貞治氏らスポーツ界の人材も候補に浮上している。

基本法に明記した「国家戦略」の一つとして、一流のトップ選手を外交の世界で生かす考えもある。スポーツ施策に明るい遠藤利明衆院議員(自民)は「柔道の山下泰裕さんは外交官に負けないロシアとの太いパイプがある。プロ野球の王貞治さんもキューバの大使にすれば日本の国際イメージが飛躍的に上がる。スポーツにはそんな力もある」と青写真を描く。

新庁は文科省のスポーツ・青少年局のスポーツ部門を独立させ、障害者スポーツを管轄する厚生労働省など関連部署を統合させる構想だ。選手や指導者も入れた政策立案の組織をつくる計画もある。長引く不況で企業のスポーツ離れが相次ぎ、企業任せの選手強化は限界に近い。基本法成立で国家主導の動きが加速するとの懸念もあるが、従来の形にとらわれないスポーツ施策の抜本的な見直しが進みそうだ。

田村 崇仁(たむら・たかひと)1973年生まれ。群馬県出身。共同通信運動部で02年W杯まで主にサッカー担当。プロ野球担当を経て、05年から日本オリンピック委員会(JOC)や五輪招致などを担当。