グラップリング、パンクラチオン、総合格闘技(コンバット・グラップリング)の世界的普及と五輪種目入りを目指す国際レスリング連盟(FILA)は5月7、8日、FILA本部のあるスイスのマルティニーで3競技4種目の「FILAグランプリ大会」を開催した。

すでに欧州選手権や世界選手権は実施されているが、時代の流れに合わせてスタートした賞金大会(今大会は無差別級のみ)。優勝賞金1000スイスフラン(約9万3300円)と小額だが、今後の大会で国際アンチドーピング機構に準ずるドーピング検査の導入を通達するなど、五輪種目入りを意識した姿勢が感じられる。

大会には14カ国から選手が参加。日本のPRIDEで藤田和之に勝ったジェフ・モンソン(米国)も参加し、試合後はグラップリング・セミナーを開催。出場した選手のこの競技にかける熱意は高いようだ。

残念ながらFILAの幹部は姿を見せず、視察した日本格闘競技連盟の鎌賀秀夫事務局長は「FILAとして、このスタイルの普及発展にかける姿勢を示してほしかった」と苦言を呈した。

他に、6月の欧州選手権を控えた段階での開催であったため参加選手数が昨年11月の「ハンガリー・オープン」より少なかったことなど、一考を要することは数多くあった。また、出場選手が多くなった場合、コンバット・グラップリングのような打撃のある格闘技を2、3日の間にこなせるものかどうかなど、課題は出てくるだろう。だが、どんなことでも初期の頃は試行錯誤の連続。その中からよりよいものをつくっていけばいいのであり、スタートさせたことに価値がある。

1987年の第1回世界女子選手権(ノルウェー)には、FILAの幹部は誰も来なかったし、マスコミからの注目はなかった。それから17年後、アテネ五輪で闘う女子選手の姿があった。女子の五輪種目入りを推進した日本格闘競技連盟・福田富昭会長の「次は、このスタイルを五輪種目に入れる」という言葉が動き出した。(格闘技ライター・樋口郁夫)