日本人として初めて3階級制覇を達成したWBAバンタム級チャンピオンの亀田興毅(亀田)が7日、地元大阪で初の世界戦を行い、11回終了TKO勝ちで初防衛に成功した。亀田にとって世界戦初のKO勝ちだったが、内容を考えると素直に喜べない面もある。

相手のダニエル・ディアス(ニカラグア)は同級14位という明らかな格下で、おまけに約1年、試合から遠ざかっていた。確かに亀田は身長、リーチで劣り、やりにくさはあったかも知れない。しかし、それを考慮してもディアスは役者不足。大振りのパンチに終始し、亀田にとって怖い相手ではなかった。8回にダウンを奪った後も一方的に攻め続けたが、ダメを押すことはできず、最後はディアスのギブアップを待って、勝利を手にした。本人も「KOで勝ったけど、課題もいっぱいある」と振り返っている。もっと早いラウンドに仕留められなかったか。

亀田には今後、緊張感の高いトップランカーとの試合を望みたい。こういう相手を選んでいては、バンタム級王者としての輝きが増してこない。ライバル団体のWBCにはノニト・ドネア(フィリピン)が君臨している。2月にフェルナンド・モンティエル(メキシコ)を2回TKOに下し、一気にスターの座を獲得した。フィニッシュとなった左強打は見事の一言で、バンタム級の歴史に残るような一打だった。戦績も26勝(18KO)1敗。KO率も楽に6割5分を超えている。

敗れたモンティエルは長谷川穂積から強烈なKO劇でベルトを奪っている。長谷川~モンティエル~ドネア。何とも豪華な面々ではないか。長谷川は王座から転落したが、評価が落ちたわけではない。なぜならモンティエル戦は昨年の年間最高試合に選ばれている。それほど彼らの実力が群を抜いている証明だ。

世界の統括団体が乱立し、王者の粗製乱造も目立っている。それだけにファンは「真のチャンピオン」を求める傾向が強い。また、その期待に応えるのが王者のプライドではないか。亀田はスーパーフライ級に転級し、4階級制覇も視野に入れているようだ。しかし、安易なタイトル獲得をファンは歓迎しないだろう。亀田サイドが英断できるか。見ものである。(津江章二)