ボクシングのトリプル世界タイトルマッチが4月8日、両国国技館で開催される。WBCスーパーバンタム級王者の西岡利晃(帝拳)が同級6位マウリシオ・ムニョス(アルゼンチン)と対戦するほか、WBCスーパーフェザー級王者の粟生隆寛(帝拳)は同級3位のウンベルト・グティエレス(メキシコ)と顔を合わせる。さらに注目度が高いのが、昨年11月にWBCフェザー級王者となり、2階級制覇を達成した長谷川穂積(真正)だろう。初防衛の相手に選んだのは同級1位のジョニー・ゴンサレス(メキシコ)。強打に定評あるゴンサレスをどう料理するのか。

長谷川のファイティングスピリットは並ではない。昨年4月、痛烈なKO負けを喫して世界バンタム級王座から転落。おまけにアゴを骨折する強烈なダメージを負った。復帰まで時間がかかると思われたが、7カ月後にはリングに上がった。そして、驚くことに2階級も上げ、フェザー級王座決定戦に挑んだのだ。厳しいとみる予想があったのも事実。しかし、長谷川はスタートからスピードに乗った自分のボクシングを展開。中盤には危ないシーンもあったが、気力で乗り越え、会心の勝利をつかんだ。

フェザー級での課題も見つかった。体格差によるパワー、タフネスの違いだ。王座決定戦では長谷川の得意パンチが何度もクリーンヒットした。バンタム級時代であれば、相手はキャンバスに沈んでいたはずだ。「やはりフェザー級は違う。さらにパンチを磨かないと…」と素直に反省した。相手のゴンサレスは西岡に敗れたことはあるが、左には一打KOの威力が秘められている。一瞬の油断が敗戦につながる可能性も十分だ。長谷川は「きれいな顔のまま勝ちたい」と自信を見せている。「タイトルは奪うより守る方が難しい」ともいわれているだけに、長谷川の試合ぶりから目が離せない。

昨年のボクシング最優秀選手に選ばれた西岡は闘うごとに安定感を増している。サウスポーからの左右連打は鋭く、重い。順当なら防衛は堅そうだ。粟生も長谷川に負けじと同じ名古屋のリングで2階級制覇を成し遂げた。決して派手さはないが、細かなテクニックに持ち味がある。メキシカンのパワーは侮れないが、自分の距離を保てば勝利は近づいてくるのではないか。

執念の長谷川、円熟の西岡、勢いの粟生。三者三様の個性でファン楽しませてほしいものだ。(津江章二)