2011年のモトGPが活動を開始した。シーズンオフのテスト禁止期間が明けた2月1日からの3日間、マレーシアのセパンサーキットで毎年恒例のシーズン前テストが行われ、モトGPクラスに参戦する17名の選手が灼熱の陽射しの下で精力的な走り込みを行った。3日間のテストを終えて、ベストタイム上位7台のうち5台がホンダ勢。ホンダは現行ルールの800CCマシンで一度も総合優勝を達成しておらず、来年からはそのルールが変更になるだけに、文字どおり背水の陣で迎えた800CC最終年での王座奪還の覚悟を窺わせるに充分な内容だった。

モトGPクラスに参戦する唯一の日本人選手、青山博一は3日間で186周を走り込みホンダ勢では5番手、全体で7番手のタイムを記録した。各陣営のワークスマシンが総勢9台いることを考えれば、サテライト体制の青山が最初のテストでこの位置につけたのはまずまずの好スタートと見ていいだろう。今季の所属はチーム・サンカルロ・ホンダ・グレッシーニ。過去には故・加藤大治郎や中野真矢も所属した名門チームだ。特に青山のチーフメカニックを務めるアントニオ・ヒメネスは中野を担当した人物でもあるだけに、日本人選手との呼吸も万全だ。

「セパンは、ヒロの得意コースなのでいいテストになることは予想していたけれども、ここまで充実した内容になるとは思っていなかった」

と、ヒメネスは大きな手応えを得たテスト結果に満足そうな表情をうかべた。

「モトGPのレベルはとても高いので、トップライダーたちを打ち負かすのは容易ではないだろう。だからといって、不可能というわけではない。我々は絶対に諦めないし、今の方向性を進めていけばヒロとワークス勢との差はさらにどんどん縮まると確信している」

青山自身も、今回のテストで確かな手応えを得た様子がその言葉の端々から充分に窺えた。

「ベストタイムを更新して、アベレージタイムも上がった。今年1回目のテストとしては上出来です。冬の間にフィジカルトレーニングを重ねてきたので、これだけ走り込んでも体調は全然大丈夫。チームメイトはワークスマシンなので、彼に刺激を受けつつ負けないように戦っていきたい。今日のトップとのタイム差は0・59秒。もうちょっと詰めたかったですね」

そう言いながら、満足感と口惜しさが入り交じった笑顔を見せた。今季はトップファイブかそれ以上の順位を毎戦コンスタントに目指す、と語る青山は、その目標を確実に手の届く距離へたぐり寄せつつあるようだ。(モータージャーナリスト・西村章)