南米大陸に開催地を移して3度目となった自動車のダカール・ラリー。1日にスタートしたレースは、大雨で一部の競技区間の距離を短縮したほかは大きなトラブルが起きることもなく、16日に閉幕セレモニーを行い、無事に終了した。

アルゼンチンの首都・ブエノスアイレスを出発。アンデス山脈を越えて、チリを巡った後、再びアンデス山脈を走破してブエノスアイレスに戻るレースは四輪部門で総走行距離9千キロ超。「世界で最も過酷」といわれる由縁だが、今年のダカール・ラリーは一度も総合首位を明け渡さず、最終順位でも所属するナセル・アルアティア(カタール)、ジニール・ドゥビリエ(南アフリカ)、カルロス・サインツ(スペイン)が1~3位を占めたフォルクスワーゲン勢が話題を独占した。

まず、飛び出したのは、前回覇者のサインツ。実質的に競技が始まった2日の第1ステージでトップに立つと、レース半ばの第7ステージまでその地位を一度も譲らなかった。サインツは世界ラリー選手権(WRC)で通算26勝を挙げ、2度の年間総合優勝に輝いた名ドライバー。勝ち方を知り尽くすベテランだけに、2連覇は決まったか―。そんな展開に割って入ったのが、アルアティア。自動車のトップカテゴリーでは珍しい中東出身。クレー射撃の選手として1996年アトランタ五輪から4大会連続で五輪に出場し、2004年アテネ五輪ではスキート男子で4位。異色のドライバーだ。

チリのアントファガスタからコピアポまでの第8ステージで最速タイムを出して総合首位を奪うと、そのまま走りきり、初優勝を果たした。「ついにやった」「生涯で最高の瞬間だ」―。ゴールしたアルアティアは、こぼれんばかりの笑顔で喜びを爆発させた。それもそのはず。BMWから参戦した2009年は一時トップに立つも、自分のミスで失格。さらに、フォルクスワーゲンに移籍した前回はわずか2分12秒差の2位に終わり、悔し涙を飲んでいたからだ。

09年ドゥビリエ、10年サインツ、そして、アルアティアと、フォルクスワーゲン勢は南米大陸開催になってからの3大会で全勝。この強さは来年以降も続くのか。それとも、4、5位につけたBMWなど他チームの巻き返しがあるのか。今から、次回開催が楽しみだ。(榎並秀嗣)