ロンドン五輪金メダリストで世界ボクシング評議会(WBC)ミドル級5位の村田諒太(帝拳)は1月30日、上海で今年の初戦に臨み、中堅を相手に2回KO勝ちを収め、デビュー以来の記録を9連勝(6KO)と無敗の数字を伸ばした。

村田は世界獲得が期待される大物の一人。今年はいよいよ念願の世界挑戦を視野に入れた勝負の年になりそうだ。果たして、村田は大舞台で真価を発揮できるだろうか。

2013年8月にデビュー戦でTKO勝ちしてから約2年半が過ぎた。「五輪金」という実績からプロでもすぐに通用するかと思えた。しかし、ミドル級は世界的にも層が厚く、レベルが高いことで知られる。

村田は白星こそ続けたが、意外と内容が芳しくない。15年11月、本場ラスベガスに進出したが、KOを逃した。パンチの切れ味がいまひとつで、スタミナの衰えも目立った。本人も「最低の試合」とまで表現した。

このままでは終われない。上海では心機一転。得意の右ストレートにかけた。相手が未知数とはいえ、KOに仕留めた一発にはかなりの迫力が感じられた。

ラスベガスではアピール不足だっただけに「勝つために上海にいるのではない。あくまでも夢は世界王者。そこまでのいいスタートが切れた」と会心のガッツポーズまで飛び出した。帝拳ジムの本田明彦会長も「今年中には世界をやらせたい」と青写真を明言した。

現在、世界には統括団体が四つあり、その中の世界ボクシング機構(WBO)王者ビリー・ジョー・サンダース(英国)が標的として浮上している。

サンダースは26歳のサウスポー。昨年12月、アンディ・リー(アイルランド)を判定で破り、新王座に就いたばかり。北京五輪出場後、プロ転向。23連勝(12KO)とこちらも不敗を続けている。パワーはそれほどでもないが、安定感には定評がある。

しかし、村田にとって王座攻略は容易ではないだろう。世界戦を踏む前にトップランカーとぜひ対戦し、パンチ、テクニックなどを試してほしい。

そこで内容を残すことが次のステップにつながるはずだ。ミドル級の頂点に立った日本人は竹原慎二だけ。五輪で金メダリストを獲得した類いまれな素質が開花するかどうか。日本ボクシング界の大きな話題である。(津江章二)