今年の大学野球は6月の全日本大学選手権で東京六大学リーグ(以後六大学)の早大が優勝し、秋の明治神宮大会では東都大学リーグ(以後東都)の亜大がその早大を決勝で下した。「人気の六大学、実力の東都」と言われる2大リーグが力を発揮した格好である。

東都の強さの秘訣の一つが春、秋のリーグ戦後に行われる1、2部入れ替え戦だろう。

今秋は昨秋の明治神宮大会優勝の駒大が1部最下位となり、2部1位の東洋大と戦ったが、そのマウンド上ではDeNAがドラフトで1位指名した駒大・今永とヤクルト1位の原が2試合で投げ合うシーンが見られた。こんな「ドラ1対決」は珍しい。

▽プロの供給源

今春のリーグ戦を制したのは1部に復帰したばかりの専大だった。1、2部の実力差があまりないことからも「戦国東都」と呼ばれ、六大学を上回る多くの選手をプロ野球に送り込む、貴重な供給源となっている。

広島・黒田(専大)、巨人では阿部、沢村、亀井(中大)村田、長野(日大)、DeNA・山崎(亜大)、ソフトバンク・松田(亜大)。ざっと挙げただけでもこれだけいる。

▽大学の変化

ここ10年以上、大学の全国大会では六大学、東都をはじめ、首都大学リーグの東海大などを加えた首都圏大学の強さばかりが目立ち、関西など他地域との差が昔よりさらに広がっている。

理由には、大学によって野球への力の入れ具合が変化してきていることとスポーツの多様化などが挙げられようか。

大学は「2018年問題」という18歳人口の本格的減少と真正面から向き合わざるを得ず、スポーツ強化にばかり力を注ぐ訳にはいかない事情もある。

全国大会の常連だった近大野球部などの活躍が前ほど聞かれなくなった。

近大は受験志望者数で早大などを抑えここ2年連続で全国1位の人気校となっており、大学自体が変わる要素となっている。

学業との両立に悩む野球部は首都圏でも同じ。東都もその一つで、現在1、2部統合というかつてないリーグの大改革に向き合っている。

▽大改革に着手

東都の創設は1931年だから80年以上と、六大学に次ぐ歴史を誇る。1~4部まで21大学が加盟しているが、4部を除き6チーム単位でリーグ戦を構成してきた。

1部は神宮球場、2部は神宮第二球場を使用してきたが、2014年から神宮第二が危険性の問題から使えず、2部はそれぞれの大学グラウンドでホームアンドビジター制で試合を行っている。

念願だった「土、日曜開催」は実現したが、各大学は離れていて、例えば千葉と神奈川の遠距離を1日ごとに移動する大きな負担に加え、自チームの試合を控え選手たちが見られない事態も起こっている。

1部ならともかく2部ではなにかと大学内の理解も得づらい。

こうしたことが直接的な契機となり「いっそのこと1、2部を統合した12チームでやったら」という声が監督会の総意として表面化したのである。

▽長年の懸案も表に

学業との両立という長年の懸案もある。神宮球場を使う1部は六大学優先から「平日開催」だが、六大学が雨でずれ込めば予定した試合がその週のうちに消化できないこともある。

神宮球場を使う以上は六大学の後発としてやむを得ないのだが、リーグ戦中の授業への出席日数確保は困難を極める。

全体練習は週に1度とか、早朝練習のあと授業に駆けつけるのは日常茶飯事だそうだ。

野球だけをやっていればよかった時代とは違うし、学業両立を多くの部員が求めているし、東都のほとんどの監督が「授業優先」を口にせざるを得ない状況なのだ。

▽球場の確保が先決

東海大の首都大学リーグは昨年から1部8校に組み直し、2回戦総当たりによる勝率で順位を決める方式を採用したが、来年からは元通りの1部6校制に戻した。

同リーグでも問題は球場の確保。週単位で神奈川県や東京都の球場を転々としている。

全日本大学野球連盟には北海道から九州まで26団体が加盟して、独自のリーグ運営をしているが、六大学のように神宮球場に固定して土、日曜開催ができているリーグはほかにはない。

六大学が大学野球はおろか日本での野球の先駆者として歩んで来た結果ではあるが、その差は歴然としている。六大学ブランドもあり有力選手が入りたがるはずである。

▽神宮を離れる決断も

さて、東都の改革だが、今月に予定されている2回目の理事会で事態が前進するかは分からない。1年ぐらいの時間をかけ多角的に議論する話でもあろうが、大学スポーツを取り巻く環境変化にどう対応できるか。口うるさいOBへの意識改革を訴えることも必要だろう。

いずれにしても、神宮球場使用に固執せず、自分たちがある程度自由に使える球場の確保を前提にしなければ事は前に進まないだろう。改革には大きな痛みが伴うものである。

田坂貢二[たさか・こうじ]のプロフィル

1945年広島県生まれ。共同通信では東京、大阪を中心に長年プロ野球を取材。編集委員、広島支局長を務める。現在は大学野球を取材。ノンフィクション「球界地図を変えた男 根本陸夫」(共著)等を執筆