ことしの高校総体を締めくくる、水泳の取材で京都市の京都アクアリーナを訪れた。今夏の世界選手権に出場した16歳の持田早智(千葉商大付高)を筆頭に2020年の東京五輪で脚光を浴びるような原石を自分なりに見つけられれば、という気持ちでレースをつぶさに観察した。

記録は低調ながら、2冠や2連覇を達成する選手が続出し私自身の展望記事がおおよそ当たったことに胸をなで下ろした。表彰式後、ミックスゾーンで各選手に話を聞いていると「来年のリオデジャネイロ五輪に出たい」と、さらっと話す高校生スイマーの多さに驚かされた。前出の持田のよう選手ならば、現実的な目標として設定していても不思議はない。しかし、ナショナルチーム入りの経験がない男子100、200メートル由形を制した吉田冬優(東京・淑徳巣鴨高)や同200メートル個人メドレーを制した溝畑樹蘭(兵庫・報徳学園)らが口にした時は「本当に?」と失礼ながら思ってしまった。

女子の場合は男子選手よりもピークが早く訪れる傾向があるため、高校生スイマーが五輪出場権を獲得することは珍しくない。1992年のバルセロナ五輪では、当時中学2年の岩崎恭子が金メダルを獲得した。しかし、男子の場合は高校生で五輪代表に食い込むのは並大抵のことではない。確かに日本競泳界のエース、萩野公介(東洋大)は前回のロンドン五輪に高校3年で出場し、400メートル個人メドレーで銅メダルに輝いた。男子平泳ぎで2大会連続2冠の北島康介(日本コカ・コーラ)も高校生3年時にはシドニー五輪で100メートル4位の成績を残しているが、別格と言わざるを得ないだろう。私見だが、男子が16~18歳で代表入りするには劇的な成長が必要だと思っている。

旧知のコーチにこの驚きを話したところ「別に珍しくないよ」と返ってきた。さらに「みんな2020年の東京五輪までに一度、オリンピックを経験しておきたいんだよ。東京五輪の時には大学生か社会人だし、物怖じしないで十分勝負できる」と続けた。今時の高校生はそこまでしっかりと人生設計をしていたのかと感心し、世界の祭典とされる五輪の1大会を通過点ととらえられる肝の大きさに再び驚いた。

どうやら5年を切った東京五輪への原石は至る所に存在していたようだ。この中から何人が東京の水泳会場でセンターポールに日の丸を掲げてくれるのだろうと期待を膨らませたところで、こうも考えた。どうせならリオデジャネイロ五輪を経験の場とするのではなく、果敢にメダルを狙って欲しい―。ディフェンディングチャンピオンとして臨むオリンピックが地元開催とは最高のシチュエーションではないか。私に言われるまでもなく、同じ事を考えている高校生はきっと何人もいるだろう。

榎元竜二(えのもと・りゅうじ)1979年生まれ。埼玉県出身。2002年共同通信入社。水戸支局や本社スポーツデータ部などを経て12年から大阪運動部。15年から本社運動部でサッカー、相撲、水泳などを担当。