第80回日本オープンゴルフ選手権は10月15日から4日間、神戸市の六甲国際GCで熱戦が繰り広げられ、池田勇太とのデッドヒートを制した26歳の小平智が初の栄冠を手にして幕を閉じた。今季の「国内メジャー」はこれまで男女とも外国人選手が総なめしてきただけに、ようやく日本勢が意地を見せた格好だ。

第1ラウンドから各選手が質の高いプレーを披露し、試合展開も非常に面白いものだったが、ギャラリーの入りは鈍かった。大会期間中の総観客数は2万1668人で、翌週に同じ兵庫県で行われた女子のNOBUTAグループ・マスターズGCレディースの2万2076人より少なかった。日本一のゴルファーを決めるビッグタイトルが観客動員数で平場の試合に負けたのである。元世界ランキング1位で2013年のマスターズ・トーナメント王者のアダム・スコット(オーストラリア)の参戦が集客にプラスに働いたのは間違いないが、やはり日本のスター選手不在が大きく響いたと言える。

日本オープンが開催されるのとちょうど同じタイミングで、米ツアーの開幕戦、フライズコム・オープンが行われた。松山英樹、石川遼、今季から米ツアーメンバーとなった岩田寛はこちらの出場を優先した。世界のトップを目指す選手にとって、当然と言えば当然の選択だ。米ツアーの開幕が年初から秋に変わり3季目。年内は欠場する強豪選手が多く、この時期はポイントを稼ぐチャンス。2季前の石川は2戦目で2位に入り、早い段階でシードを確保。だが、昨季はなかなか上位に入れず、最後まで苦しんだ。日本オープン開幕前の会見でこの件を問われたスコットはこう答えた。「ナショナル・オープンは最も大事な試合の一つだ。彼らもキャリア、年齢を重ねると考え方が変わると思う。決して彼らが悪いというつもりはないが、自分たちが日本のゴルフ界に将来どう影響を与えるか。変わっていってほしいね」と。

国の頂点を目指す最高の舞台で、プロゴルファーに憧れる子どもの目の前で全力プレーをする。それが今後のゴルフ界につながるとスコットは信じている。ジュニア選手を招待して自身のこれまでの経験を語るイベントも開いた。サインをする際に感謝の言葉をもらうと、「My pleasure(こちらこそ)」と返答するのも、ゴルフを好きになってもらえることが自分の喜びにつながるからだという。

スコットはこうも付け加えた。「僕も23歳の頃に(母国の)オーストラリア・オープンに出なかったこともある。今思えば、出ていれば良かったと思うけど。今度は自分が彼らを連れてくるようにするよ」とさわやかに笑った。初出場だった昨年に続き、試合では本調子とはいかなかったが、日本のファン、関係者に対して隔たりのない紳士的な振る舞いやコメントで大きなインパクトを残していった。出場の意欲を見せている来年の大会では、ぜひとも優勝争いに加わって盛り上げてほしいところだ。

杉山 勝則(すぎやま・かつのり)1984年生まれ。山口県周南市出身。2008年共同通信入社。本社運動部、大阪運動部を経て、広島支局で主に広島カープを取材、12年末から本社運動部でゴルフ、ラグビーなどを担当。