J1のレギュラーシーズンともいえるリーグ戦が、22日に終了した。これから行われるポストシーズンのチャンピオンシップ(CS)で年間王者が決まるが、昨年までのストレートな1ステージ制で考えれば、シーズンを通して最多の勝ち点を獲得した広島の“優勝"となる。森保監督のもとでは2012、13年と連覇を飾っているから、“4年間で3度の優勝"という見事な成績だ。ことし7月に開示された14年度のJクラブ経営情報によれば、広島の営業収益31億4900万円、チーム人件費13億4900万円は、いずれもJ1平均を下回る。さらに、毎年のように主力選手を他クラブに引き抜かれていながら、これだけの好成績を残していることは称賛に値する。

湘南を迎えた第2ステージ最終節には、ホームで今季最多となる3万3000人を超える観衆が集まった。勝ち点や得失点差の関係から、負けても第2ステージ優勝はほぼ間違いなし、引き分けでも年間勝ち点1位が確実という状況であったから、押しつぶされそうなほどの重圧はなかったかもしれない。広島は前半24分に口火を切ったFWドウグラスのハットトリックなどで5―0と圧勝し、その強さを見せつけた。

広島の結果がほぼ予想可能だった最終節で、むしろ注目していたのはFC東京とG大阪の年間勝ち点3位争いだ。3位になればCS出場権を獲得し、年間王者への道がつながる。最終節を前にFC東京は3位で、4位のG大阪に勝ち点2差をつけて優位に立っていた。そして結果は、FC東京がホームで鳥栖と0―0の引き分け。一方、山形に4―0と快勝したG大阪は勝ち点で並び、得失点差で上回って鼻の差で3位争いを制した。チームを率いて2年目のフィッカデンティ監督が「優勝争いのできるチームになってきた」と成長を認めるFC東京は、その切符を乗車寸前で失った。試合後、ピッチ上に倒れ込んで起き上がれない選手、涙を流す選手がショックの大きさを物語っていた。

リーグ戦にホーム、アウェーがあり、通常は慣れ親しんだスタジアム、多くのサポーターの応援をバックに戦うホームが有利と考えられる。ところが近年、肝心なところのホームゲームでつまずくケースが目立つ。FC東京もしかりで、年間3位争いが佳境に入り、背後にG大阪の足音が迫ってきたホームのラスト4戦は1勝1分け2敗で、可能な勝ち点12のうち、わずか4点しか積み上げられなかった。昨年は浦和と鹿島が最終節で“ホームのわな"にかかった。首位のG大阪が徳島と引き分ける一方で、勝てば優勝の浦和は名古屋に逆転負け、2点差勝利で優勝の鹿島は鳥栖に敗れてタイトルが泡と消えた。横浜Mが13年に、第33節のホーム最終戦で6万2632人のJリーグ最多入場者記録となる大観衆を集めながら新潟に苦杯を喫し、そのショックが尾を引いたのか、続く最終節で川崎にも敗れ、広島に逆転優勝を許したのも記憶に新しい。

ゴール直前のどんでん返しは一見、ドラマチックに見える。しかし、こういう場面に何度もお目にかかると、チームのもろさ、危うさを感じずにはいられない。目標の姿がはっきりと視界に入ると、かえって浮足立ってしまうということなのか。日本代表経験者も多いFC東京は、予想どおり鳥栖戦では相手陣内でプレーする時間が長く、シュート数でも鳥栖の5に対し11と上回った。しかし、唯一の期待ともいえるDF太田の左サイドからのクロスは、ほとんどがゴール前に密集する鳥栖守備陣にはね返されて、得点が入りそうな予感は次第に薄れていった。太田は試合後、「引いた相手をどう崩すか、そこのバリエーションが足りない」と語ったそうだ。

そこには、アジアの格下相手に圧倒的にボールを保持しながら得点を挙げられず、時折のカウンターアタックでひやりとさせられる日本代表の姿がオーバーラップする。むしろ、「何かをしでかしそうな」不気味さを漂わせていたのは武骨に守る鳥栖の方で、実際に単純明快な縦パスからFC東京を慌てさせる二度の決定機を生み出し、1本は惜しくもゴールポストに阻まれた。

広島はしっかりと最終節を白星で締めくくり、年間1位の可能性があった同2位の浦和も神戸から大量5点を奪って勝ち切った。そしてFC東京を逆転したG大阪も、苦しみながら必要な勝ち点3をしっかりともぎ取った。過去にJリーグ優勝実績のある強豪が経験を生かし、盤石の強さを発揮したと結論づければ、まさにコラム向きの結末だ。

しかし、その強さの評価を国内で完結させるべきではない。これらの3チームは年間3位以上となって、来年のアジアチャンピオンズリーグ(ACL)出場権を獲得した。さらに、天皇杯の結果によってはFC東京にもACLへの挑戦権が与えられる。本当に彼らが強いのかは、アジアで、さらにはその先にあるクラブワールドカップの舞台で測るべきだろう。ことしのACLで準決勝へ勝ち進んだG大阪は、広州恒大(中国)と戦ったホームの第2戦で0―0と引き分け、第1戦の1―2と合わせて敗退した。G大阪の長谷川監督は「Jリーグの力が試された大会」と位置付けた大会で、「本当にわれわれが強くなって、こういったゲームを勝ち切れるように力をつけていかなければ」と語った。

石川[いしかわ]あきらのプロフィル

サッカージャーナリスト。1956年、東京都生まれ。慶応大学卒。「サッカーダイジェスト」の編集に携わり、編集長を務める。ワールドカップは1982年スペイン大会から昨年のブラジル大会まで9回連続で取材を続けている。