「マックス・フェルスタッペンだ、間違いない。彼はずばぬけている」。ここ数年内にデビューした若手ドライバーの中で注目すべきは誰かと問うと、ゲルハルト・ベルガー氏はそう即答した。

ベルガー氏は、フェラーリやマクラーレンで活躍した名ドライバーで、故アイルトン・セナと最も親しかったチームメートとしても知られている。1980~90年代のF1ブームを知る世代にとっては懐かしい名前だ。引退後、レッドブルの若手育成プログラムなどにも関わったベルガー氏はフェルスタッペンについて、「デビュー時点ならベッテルより才能が上かもしれない」と絶賛する。

フェルスタッペンは今季、F1史上最年少となる17歳でトロロッソからデビューを果たしたオランダ人ドライバー(9月30日に誕生日を迎え、現在は18歳)。17歳と聞くと驚くが、テニスの錦織圭は17歳でプロ転向を果たしている。ほかにも、今年の甲子園を沸かした早稲田実業1年の清宮幸太郎は16歳ながら、そのバッティングセンスはプロも認める一級品だ。このように、若くして才能を開花させるアスリートは、普通の10代とは何が違うのだろうか?

ベルガー氏は、小さいころから将来の目標がハッキリしていると指摘する。「僕がジュニアドライバーだったころ、F1ドライバーはあくまでも将来の夢だった。でも、マックスやレッドブルのセバスチャン・フェテル、メルセデスのルイス・ハミルトンのように、近年の才能あるドライバーたちはカート時代からF1を現実として目標にしている」

30日から開催される東京モーターショーに流すルノー・ジャポンの映像を国内で撮影中だったフェルスタッペンを直撃すると、まさしくベルガー氏と同じ答えだった。「僕がカートを乗り始めたのは4歳のとき。そして、F1ドライバーになることが将来の夢ではなく、目標として捕らえるようになったのは10歳のころだったと思う。ジュニアカートのレースで勝利するようになり、僕のなかでF1は現実的な目標になったんだ」

次に、フェルスタッペンの父親で自身もF1ドライバーだったヨスにどんな環境で息子を育てたのかを聞いてみた。

「普段のマックスは、いたずら好きで他の17歳の子と大きく変わらないよ」。ヨスはそう話したが、ことレースになると違うようだ。「23~24歳くらいの精神的な成熟度がある。知識も能力も対応力もね。これは若くして成功したアスリートに共通しているポイントだと思う」と元F1ドライバーならではの分析を語ってくれた。

どうすれば、そんな風に成長できるのか。さらに尋ねた。「大切なことは最初に優れた指導者に学ぶことだ。幸い私はレース人脈があり、誰が育成者として優れているのかを判断できた。もちろん、私も指導したよ」とヨス。その上で、「子供の吸収力は驚くべきものがある。だからこそ最初が肝心で、間違った指導者やレベルが高くない指導に出会うと、そこが基準点になってしまう。子供は指導者を選べない。親の責任として可能な限りの最高の指導者を見極め、共に歩むことが、いちばん大切だと思うね」と強調した。(モータージャーナリスト・田口浩次)