2015年のF1シーズンは、ヨーロッパラウンド最後となるイタリアGPが終わり、いよいよ日本GP(27日決勝)が近づいてきた。

今シーズンの争いに目を向けると、メルセデスが圧倒的な強さを示していることは昨季と同じだ。しかし、年間王者争いに関しては黒人初の年間王者でこれまでに2度タイトルを獲得(2008年、14年)している英国人ドライバーのルイス・ハミルトン(メルセデス)が、昨季激しい王者争いを繰り広げたチームメートのニコ・ロズベルク(ドイツ)を大きく引き離して3度目のタイトルを手にするだろうと、関係者の多くが感じている。

そんなハミルトンが、幼少からアイルトン・セナに憧れ、自身が長年使っていた黄色のヘルメットもセナのヘルメットをモチーフにしたものであることは有名だ。そして、日本GPの直前に行われるシンガポールGP(20日決勝)で、ハミルトンはグランプリ出場数が161となり、セナが生前出場したグランプリ数に並ぶ。そこで、二人の記録を見比べてみたところ、その性格こそ違うが両者の記録には非常に似通ったものがあることに驚かされる。

まずセナの記録を調べてみると、全161戦中、ポールポジション(PP)獲得数65(40・37%)、表彰台獲得数80(49・69%)、勝利数41(25・47%)とある。そしてワールドチャンピオン数は3度。一方のハミルトンは、まだシンガポールGPを終えていないため、レース数を160で計算するが、PP獲得数49(30・63%)、表彰台獲得数81(50・63%)、勝利数40(25%)だ。PP獲得率こそハミルトンが劣るが、それ以外はほぼ同じだ。

ハミルトンが今季も年間王者を獲得すれば、セナと同じく3度目の戴冠となる。さらに言えば、セナのシーズン最多PP獲得数は13(1988年、89年。当時は全16戦)で、PP獲得率は81・25%。一方、今年絶好調のハミルトンは、ここまで12戦中11戦でPP、獲得率は91・67%という圧倒的な速さを見せつけている。年間のレース開催数が違うので、獲得率で比較すると残り7戦で5度PPを獲得すれば、セナの記録を上回る計算だ。

だが、似通っている記録とは違い、そのキャラクターは随分と違う。セナはどこか儚げ。その影を感じさせる部分のミステリアスさと、ドライビングのギャップも相まって世界中にファンを作った。一方のハミルトンは、社交的でハリウッドセレブのように目立つことを好む。ドライビングでのアグレッシブさも、その性格の延長と感じさせる。人気も北米や英国に偏っている節がある。

日本ではセナやミハエル・シューマッハーのような人気はまだないが、すでに偉大なドライバーの仲間入りをしているハミルトン。この先、記録だけでなく、記憶という部分でも憧れのセナを超えていくことができるのか、今後にぜひとも注目してもらいたい。(モータージャーナリスト・田口浩次)