5月2日(日本時間3日)に行われた“世紀の対決"で宿敵マニー・パッキャオ(フィリピン)を下した世界ボクシング協会(WBA)ウエルター級王者フロイド・メイウェザー(米国)のテクニックにあらためて高い評価が与えられている。

「打たせないで打つ」といううまさが歴代有数であることを証明、6階級を制したパッキャオの攻撃力を封じたアウトボクシングには脱帽するしかない。

そして、メイウェザーには大きな目標ができた。9月にも予定される試合で歴史的な快挙に挑むことになる。

その大記録とは、1950年代に活躍した元世界ヘビー級王者ロッキー・マルシアノ(米国)が打ち立てたデビュー以来、49連勝(43KO)不敗という不滅の数字だ。

現在、メイウェザーは48連勝(26KO)で負け知らず。96年10月にデビュー以来、約20年間も白星だけを積み上げている。マルシアノが引退してから半世紀以上が過ぎ、ようやく現代のスーパースターが視界に捕らえたのである。

マルシアノは破壊的な強打の持ち主で「ブロックトンの高性能爆弾」と呼ばれた。

うなるような左右フックをたたきつけ、KOの山を築いた。6度目の防衛に成功した後、「もう相手がいなくなった」と32歳の若さでタイトルを返上した。

世界チャンピオンがベルトを持ったまま、しかも無敗で引退するとはまず常識では考えられない。メイウェザーはその信じられないような偉業が手の届くところまできたのだ。

パッキャオを明白な判定に破った直後のインタビューで高らかにこう語っている。「偉大な選手を尊敬するが、史上最高のボクサーはこのおれだ。すべてを計算し尽くして、闘っている。パッキャオは偉大な男だが、私は知性で上回った」と胸を張った。

ディフェンス重視のボクシングに批判的な声があるのも事実だが、勝利を優先し、決して無理をしないスタイルは憎いほどの安定感がある。

パウンド・フォー・パウンド(体重同一時)の王者は誰か。このテーマはボクシングファンにとって永遠の話題だが、メイウェザーという名前がオールタイムのベストテンに入っても何ら不思議ではないだろう。

50年以上、内外のボクシングを見続けているが、このテクニックは抜きん出ている。マルシアノに追い付き、追い越せるか。その日を見てみたいものだ。(津江章二)